10月にプロ野球日本シリーズの延長のために1回分延期になったので、他のドラマとは1週分遅れているはずだが、早々と来週の第9話が最終回となる。

この「リーガルV」は、「ドクターX」に比べて低迷している、という批判的な記事をネット上に散見する。
その判断材料になっているのが、いまだに視聴率という、昭和の時代から続いている評価指標であることが時代遅れな印象も受ける。数字が悪ければ中身を批判し、よければ中身を褒める。

くしくも同じ時期に、フジテレビで「SUITS/スーツ」がオンエアされているが、このふたつを観て、確かにリーガルドラマという設定のもつ、独特のむずかしさも感じる。

法律には「ドクターX」や「ブラックペアン」のような「個人の神技」が通用しない。

難易度の高い争いごとを解決するには、どうしても相手の弱みを握って示談に持ち込んだり、ある程度きたない手法を取り入れざるをえない。成功した米国ドラマ「SUITS/スーツ」も手段を選ばないハーヴィーというキャラクターが中心人物だ。
視聴者から観て、係争を解決に導くまでの流れが比較的理解しやすいので、医療ドラマで見せる劇的な大手術シーンのように、視聴者を「煙に巻く」ミラクルが表現できない。

むろん「ドクターX」を続けていれば、「相棒」や「科捜研の女」のような安定して数字を稼ぐ定番商品になったであろう。
ただし、米倉涼子とテレ朝のチームは、その道を選ばず、果敢に新しい作品づくりに挑戦した。それでよいではないか。

米倉涼子が演じる小鳥遊翔子の人物像は、ほぼ確立した。

金の亡者で、勝つためには手段を選ばないしたたかな女でありながら、今回の第8話でも感じるように、人一倍の正義感を持ち合わせている。どうしても救わなければならない人には深い愛情を持って接し、その反面、権力を使って自らの罪を隠そうとしている者がいれば、厳しい追求の手を緩めない。

無類の鉄道好きで、刑事ドラマ「現場百回」の主演男優・鎧塚平八の大ファンでもある、というスパイスもうまく効いている、愛すべきキャラクター。

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この第8話は、その翔子が、過去に弁護士資格を失うきっかけともなったNPO法人・幹部職員殺人事件に絞られ、次回の最終話に向けての盛り上がりを見せる。

どうやら最後の黒幕は、かつて翔子が所属していた「Felix & Temma法律事務所」の代表弁護士・天馬壮一郎(小日向文世)らしい。

これまで、表向きは穏やかな口調の紳士を演じながら、期待どおりの仕事をしなかった秘書・中沢淳美(宮本茉由)に対して赤ワインを浴びせるような卑劣な人物でもあることが描かれている。

すでに実刑判決を受けて服役している守屋至(寛一郎)が人を刺殺したのは事実。
しかし、なぜか彼が服役している刑務所に天馬が現れるのだ。

どうやら、背後に何か巨悪が隠されている。天馬は落ち着き払った口調で翔子に「奇遇ですね」とは言うものの、この事件を蒸し返されたくない意図が見え見えだ。

この第8話、第9話を通じて、この諸悪の根源である天馬が、翔子に懲らしめられる過程を描くのだろう。

ただ、法曹界のドンでもある天馬は、なかなか手強い。

まず、翔子が無資格で弁護活動をしていることを理由に、弁護士会を通じて、翔子の京極法律事務所を潰しにかかる。

それをきっかけに翔子は、いったん姿を消すが、服役している至の妹、守屋未久(久保田紗友)の居場所を突き止める。
彼女は、兄には大学に通っていると伝えたものの、身分を隠して田舎の旅館で働いていたのだ。
翔子の執念深さは、彼女が大ファンである刑事ドラマ「現場百回」の教えによるものだ。

実は、守屋至は自分の妹、未久を守るために殺人を強要されたのだ。守屋が刺殺したNPO法人「貧困を救う会」の職員である幹部職員・市瀬徹(夙川アトム)は、不正隠しのために「消された」のである。

そして、天馬は、そのNPO法人代表で政治家を目指している大峰聡(速水もこみち)とも、ただならぬ関係を持っている。

このように経緯が明らかになっていくなかで、翔子が天馬に奇想天外な挑戦状を突きつける。
次回の最終話で、この師弟対決がどのような展開を見せるか、楽しみだ。

P.S.
守屋未久を演じるのは「過保護のカホコ」で好演していたカホコの従姉妹、糸ちゃんだった、久保田紗友。

基本情報:テレ朝木曜ドラマ「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」第8話 – 米倉涼子主演

  • タイトル リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~
  • チャンネル テレビ朝日系列
  • 番組公式サイト トップ あらすじ 人物相関図 スタッフ
  • 放送日時(第8話) 2018年12月6日(木)21:00〜21:54
  • 出演
    • 小鳥遊翔子・たかなししょうこ(元弁護士):米倉涼子WikipediaWikipedia
    • 京極雅彦・きょうごくまさひこ(代表弁護士):高橋英樹WikipediaWikipedia
    • 大鷹高志・おおたかたかし(弁護士、元検事):勝村政信WikipediaWikipedia
    • 青島圭太・あおしまけいた(弁護士):林遣都WikipediaWikipedia
    • 馬場雄一・ばばゆういち(パラリーガル):荒川良々WikipediaWikipedia
    • 伊藤理恵・いとうりえ(パラリーガル):安達祐実WikipediaWikipedia
    • 茅野明・かやのあきら(パラリーガル):三浦翔平 WikipediaWikipedia
    • 海崎勇人・かいざきはやと(ライバル事務所弁護士):向井理WikipediaWikipedia
    • 白鳥美奈子・しらとりみなこ(ライバル事務所弁護士):菜々緒WikipediaWikipedia
    • 中沢淳美・なかざわあつみ(ライバル事務所秘書):宮本茉由 WikipediaWikipedia
    • 天馬壮一郎・てんまそういちろう(ライバル事務所代表):小日向文世WikipediaWikipedia
    • 神保有希・じんぼゆき(鉄道バー店員):内藤理沙WikipediaWikipedia
  • 第8話ゲスト
    • 大峰聡・おおみねさとし(NPO法人「貧困を救う会」代表):速水もこみちWikipediaWikipedia
    • 守屋至・もりやいたる(小鳥遊翔子が弁護していた元依頼人):寛一郎WikipediaWikipedia
    • 守屋未久・もりやみく(守屋至の妹):久保田紗友WikipediaWikipedia