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日テレ水曜ドラマ「獣になれない私たち」第9話 – 新垣結衣・松田龍平 主演

事務所でビールを飲みながら「生き残り頭脳ゲーム」をしていた恒星(松田龍平)と晶(新垣結衣)が、次の朝を迎えるシーンから始まる第9話。

晶は、4年間ズルズルとつきあっていた京谷(田中圭)との関係に、きっぱりと区切りをつけた。
次は、ある企業の粉飾決算にズルズルと手を貸してきた恒星の番だ。
そして晶にも、パワハラ職場との決別ができるかどうか、と言う壁があった。

晶のマンションの更新日が月末に迫っている。くしくも恒星が決算報告書を提出する期限も月末だった。
ふたりがどういう行動に出るかが、最終話のひとつ前に放送されたこの回のテーマでもあった。

恒星に勇気はあるか

彼は、かつて粉飾決算に協力してしまったことで、毎年それを続けざるを得ない。この不正が発覚すれば公認会計士の資格を剥奪されてしまうからだ。

恒星が持っている公認会計士という資格は、かなりの難関の試験を通らないと取得できないもの。
社会的信用も医師や弁護士にひけを取らないくらいあり、業種を問わず上場企業は公認会計士の監査を必要とするので、どんな不景気な時代でも仕事は必ずあると言ってもいい。
この黄金の「手に職」を失うリスクを取ってまで、きっぱりと足を洗えるのか。ついにその相手との対決の瞬間が訪れる。

晶に次の勇気はあるか

晶は、上着の内ポケットに辞表を隠し持っている。勤務先のパワハラ社長・九十九(山内圭哉)に対して、いつでも突き出せるようにするためだ。
皮肉にも、晶が京谷と別れるきっかけになったワガママ女・朱里(黒木華)が同じ職場にいる。

そのなかで、社長の集中砲火の被害を受けるのは、晶ではなく、新人の朱里だった。
まさに晶が勇気を出すべき瞬間が訪れる。
朱里に対する不当な扱いを巡って、社長と全面対決となるのだ。

ただ、かつて自分を不幸な目に合わせた朱里のために、自分が辞表を出すというのも、どうなんだろう。果たして、そこまでやるのか?

これも第9話の見せ場のひとつであった。

獣になれた?

ラブストーリーのひとつのシナリオとしては、晶がきっぱりと職場を去り、恒星も資格を捨てて、ふたりはどこか遠いところでゼロからやり直す、というのもあるだろう。

この第9話は、ふたりにそのチャンスを与えていた。

しかし、このドラマは「獣になれない私たち」だ。
凡人にはできそうもないことを勇者がやってくれるのがドラマのひとつの形でもあるが、凡人が結局は負けてしまう現実の姿のせつなさを描くことが、このドラマのテーマでもある。

ふたりは勇者になりかけたが、しかし…応援していたスポーツチームが優勝を目前に最終試合で2位に転落してしまったような気分。

賛否両論はあるかも知れないが、何ともどんよりした後味を残しながら、ドラマは最終回に進んだ。

P.S.
公認会計士になるための第1関門である、短答式試験と言われるマークシート式の1次試験が2018年は12月9日(日)に実施される。それに合格すると、論文式試験という2次試験が来夏にある。そして、さらに2年間の実務経験を積む必要がある。最後に終了考査という段階を経てやっと公認会計士を名乗ることができるのだ。
必要な勉強量は膨大で、単に頭がよいだけで受かるものでもない。資格を取るまでに10年くらいかかる人もいる。それを捨ててまで恒星は筋を通せる?やはり通せないかな…

今から観るには:「獣になれない私たち」

基本情報:日テレ水曜ドラマ「獣になれない私たち」第9話 – 新垣結衣・松田龍平 主演