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日テレ水曜ドラマ「獣になれない私たち」第8話 – 新垣結衣・松田龍平 主演

晶(新垣結衣)がきっぱりと、これまで言えなかったことを京谷(田中圭)に告げて相模湾の砂浜を後にした第7話。
これで彼女の人生には、ひとまず大きな区切りがついた。

そして今回は、これまでの全7話を、たとえ野球放送が延長になった夜も欠かさず観てくれた視聴者へのご褒美のような回であった。

これまでドラマの背後に隠されていた真実が次々と浮かび上がる。
そして結末では、晶と恒星(松田龍平)の関係が次のステージに進んでくれそうな風が吹いてくる。

恒星の兄、呉羽の夫

これまで両者とも謎の存在だった。
もしかしたら同一人物ではないか、という説も流れるほどだった。
もしくは一度も登場せずにドラマの最終話まで進んでしまうんだろうか。

恒星の兄は、失踪していた。

そして、これまで何度か恒星の口から語られてきたように、不仲である。
兄が困っていたときに、兄が頼んでもいないのに恒星が救って、それがきっかけで関係が悪化したということだった。
先週、晶は4年間抱えていた問題を、勇気を持ってクリアした。
今度は恒星が、自分の抱えている問題をどう解決するのかが関心事ともなるが、今回、恒星と兄の関係が一気に明らかになる。

いっぽう、呉羽(菊地凛子)が恒星を振って結婚した相手である覆面ゲームクリエイター「橘カイジ」の存在も謎であった。
呉羽は恒星に、夫が設立した会社の上場をサポートしてほしいと頼んでいたが、打ち合わせを2回もドタキャンされていた。

幻に終わるのかと思いきや、驚きを持ってその正体が明らかになる。しかも1回フェイントがあったあとで。

この橘カイジだけで、今回ごはん3杯くらい行けそうなスペシャルな回でもある。

橘カイジは、晶と4年間つきあっていた京谷(田中圭)の家に居座っていた朱里(黒木華)が夢中になっていたオンラインゲームの創作者でもあり、今後も何かの絡みを期待させる。

朱里

晶の勤務先であるツクモ・クリエイト・ジャパンは、九十九社長(山内圭哉)のブラックぶりがたたって、主要人物が辞意を表明する。
さすがの九十九も焦り始めるが、転職サイトにもネガティブなコメントが書き込まれていたため、応募が一人しかなかった。
ところが、面接に現れたのは、前回とんでもない我儘な女ぶりを撒き散らして大きなインパクトを残した朱里。
晶も次の一手として会社を辞める行動に出る準備もできていたが、彼女の登場で人生の岐路で思わぬ方向に流されてしまう。
単なる迷惑女で終わらず、朱里もこのドラマの中で引き続き何か別の役割を果たすような流れになってきた。

あれほど救いようのない女だった人物にも「いい人」要素がありそうな予感。
このドラマらしい。

32,583円

晶が初対面の男に、この金額を貸してくれ、と頼まれる。
晶は前回思い切った行動に出たが、基本的には「いい人」だ。
そして、この初対面の男も、晶と同じく「いい人」過ぎて失敗した人だった。
だから、ありえないことだが、貸してしまう。

この1円単位まできっちりとした金額には、ある意味があった。

生き残り頭脳ゲーム

恒星が、子供時代に福島の実家で兄と一緒に遊んでいたボードゲームだった。
※ちなみに、架空のゲームではなかった。

橘カイジは、朱里を始め引き籠っている全世界の見知らぬユーザー向けにオンラインゲームを提供していたが、それとは正反対の、このアナログなゲームが、恒星と兄の絆でもあった。
最後に、このゲームが大きな役割を果たす。

大喧嘩

今回、目的地に向かうタクシーを途中で降りて、二人の男が口論するシーンがある。
それも過去の出来事を蒸し返して、あのときどうだった、ああだった、という不毛な言い合い。
料金をもらっていないので、タクシー運転手が割って入ろうとするが、頭に血が上った彼らは取り合わない。
第4話の晶と恒星のベッドでの会話と同じくらい、このドラマ全体を通じての記憶に残る名シーンだろう。

意外な人物が涙を流す。
それも、涙がカメラに映らないけれど、泣いているのがわかるシーン。
これも今回の感動ポイントだった。
そして、実は彼も自分の職業を失うかも知れない危険を冒してまで人を救う「いい人」だった。

このような、いろんな驚きや楽しみが散りばめられた、最終ステージへのスタートを飾るにふさわしい回だった。

P.S.
次回予告動画の最後の3秒が笑える。えっ、部長?

今から観るには:「獣になれない私たち」

基本情報:日テレ水曜ドラマ「獣になれない私たち」第8話 – 新垣結衣・松田龍平 主演