甲斐弁護士(織田裕二)は、勝つためには手段を選ばない。

敗北寸前まで追い詰められても、相手の弱みにつけこむ「悪どい」手法で切り返すことが多々ある。

そういう不道徳なことが実際の訴訟でもよく行われているのかどうかは定かではないが、争っている相手の不正や公開されたくない事実を掴んで、それを揉み消す代わりに取引に応じろ、と言う攻め手だ。

今回は逆に、甲斐がその悪どいやり方で畳み掛けられて、防戦一方となる展開だった。

甲斐が所長のチカ(鈴木保奈美)からアサインされたのは、原告団総勢462人が建設会社を相手取って、有害性塗料による健康被害を訴えているもの。すでに一審で完全敗訴している裁判の控訴審だが、チカは、和解に持ち込んでも十億単位になる案件だ、と乗り気である。

実は、乗り気な理由が他にもあったのだが、それは結末まで明かされない。

さて、この裁判、蓋を開けてみると一審の弁護士がスキャンダルで追い詰められて廃業した、という物騒な情報も入ってくる。

そして相手方の弁護士が、スタンリー法律事務所の畠中美智瑠(山本未來)であることがわかる。

第4話で、甲斐と大輔(中島裕翔)が闘った、因縁の相手。
なおかつ、彼女は甲斐の後輩でもあり、手段を選ばぬ冷徹ぶりは甲斐譲りでもある。

美智瑠はまず、敵である幸村・上杉法律事務所にアポなしで訪れる。
事務所内に原告団の個人情報を漏洩させた人物がいるとして、内部に揺さぶりをかけに来たのだ。

そして、第三者を使って原告団のひとりひとりに言いがかりのような脅しをかけ、訴訟から降りるように仕向け始める。
人数は多くても素人である原告団は次第に戦意を失ってゆき、甲斐が想定したよりずっと安い金額で和解に応じようとする。

原告が徹底抗戦する意思が強ければ甲斐の腕の見せどころだが、訴えを取り下げられては元も子もない。

これまでにない崖っぷちに追い詰められた甲斐。
万事休す寸前まで行ったところで、意外なところに大逆転の糸口が。

どんな小さなことでも見逃してはいけない、という教訓のような回であった。

いっぽう、次第に距離が縮まったり離れたりする、大輔と真琴(新木優子)の「ラブかも知れないラブストーリー」も、なかなか見応えのあるものだった。最後の場面は、ちょっとほろ苦く、せつない。

P.S.
最初に出てくる原告団代表の男性。どこかで見た顔だと思いきや、絶賛放映中のドラマ「ブラックスキャンダル」で、主演の矢神亜梨沙(山口紗弥加)を執拗に追いかけまわす悪質な週刊誌記者を演じていた、片桐仁。今回、彼の口から「週刊誌のスキャンダル」というセリフが出るのは、隠し味か?

今から観るには:「SUITS/スーツ」

基本情報:フジテレビ月9「SUITS/スーツ」第8話 – 織田裕二・中島裕翔

  • タイトル SUITS/スーツ
  • チャンネル フジテレビ系列
  • 番組公式サイトトップ あらすじ 人物相関図 キャスト&スタッフ
  • 放送日時(第8話) 2018年11月26日(月)21:00〜21:54
  • 出演
  • 第8話ゲスト
    • 水原美咲(原告団代表):矢田亜希子WikipediaWikipedia
    • 佐藤鈴子(原告団代表):宍戸美和公WikipediaWikipedia
    • 畠中美智瑠(スタンリー法律事務所・弁護士):山本未來WikipediaWikipedia
  • 脚本 池上純哉
  • 原作 NBC Universal制作「SUITS」シリーズ
  • 主題歌 B’z「WOLF」