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TBS日曜劇場「下町ロケット」 第7話 〜阿部寛主演

この「ヤタガラス編」における最大の悪者は、血も涙もない帝国重工の次期社長候補・的場俊一(神田正輝)に間違いない。

ただ、本来ならこの結果重視の的場のほうが、夢を追うことや義理人情を重んじる佃航平(阿部寛)よりも有能な経営者とも言える。

しかし、これは「ビジネス勧善懲悪」ドラマ。

最後には佃が勝ち、傲慢な的場をギャフンと言わせるんだろう。

前回の第6話で、大企業とは絶対に組まないと宣言していた無人ロボットの第一人者である大学教授の野木(森崎博之)を、佃(阿部寛)がやっとのことで説得する。そして、帝国重工、佃製作所、北海道農業大学による夢のプロジェクトが始まるはずだった。

ところが、次期社長に指名される有利な状況がほしい的場が、その手柄を横取りしようと画策する。
おまけに、そもそもこの新規事業の提案者だった財前部長(吉川晃司)に、佃製作所をプロジェクトから外すように指示する。
にもかからわず、佃がプロジェクトへの協力を取りつけた野木教授との関係は継続しろ、という信じられないような厚かましい交渉を財前に押しつけてしまう。

財前が佃に頭を下げに来るが、さすがの佃も「うちにだってプライドはある」と告げ、野木への交渉を一旦は断る。

しかし、ここからが佃航平だ。

日本の農業に貢献する結果に繋がるなら、財前の頼みも聞いてやろうじゃないか、と翻意するのだ。

こんなにも人のいい話があるだろうか?

しかし、佃をその気にさせる事件が起こる。

意外な伏兵、ライバル会社であるダイダロスにしてやられるのだ。

これまで最高の技術を誇ってきた佃製作所だが、別案件の受注寸前にスペックで負けてダイダロスに仕事を奪われるという屈辱を味わう。

この敗北を機に、佃はとんでもなくスケールの大きなプロジェクトを立ち上げる決意をする。

従業員の前で、今後のビジョンを語る佃は、まさに理想の経営者だ。この人にならついて行こう、と思える、この回の第1のヤマ場だった。

野木も日本の農業のために早く製品を世に出すことを優先して帝国重工の理不尽な依頼は受けつつも、佃の秘策にも手を貸すことを約束する。

そして、第2のヤマ場が訪れる。
佃が野木の説得に成功したと聞くと、的場は財前を外して、自分の側近の奥沢靖之(福澤朗)に野木の相手をするよう命じる。

この奥沢が、典型的な上から目線の失礼な人物。
野木と佃が一緒にいるところを見て、彼らを下請け呼ばわりしていたのを罵倒する。
それに対して、野木が切り返すシーンが見ものだ。スカッとした。

いっぽう、前編「ゴースト」編の中心人物だった、伊丹大(尾上菊之助)と島津裕(イモトアヤコ)。二人は帝国重工を追い出され、ギアゴーストというベンチャー企業を創立した。ところがケーマシナリーという会社に特許侵害で訴えられ、大ピンチを迎えたところを佃製作所社長・佃航平(阿部寛)に救われたのだった。

ところが、伊丹は、佃製作所との提携話を反故にし、佃製作所のライバル会社、ダイダロスと組むことを決めてしまう。
伊丹は、帝国重工時代に的場の指示で、ダイダロスの社長である重田の父が経営していた会社を倒産に追い込んだ過去がある。重田に引け目があるのだ。そして自分を陥れたのも的場であると聞き、復讐心に燃えて重田に協力することになったのだった。

その結果、はじき出されたのが盟友であったはずの島津だった。

彼女の技術力はピカイチだ。
佃製作所の社員も、佃自身も、彼女と一緒に仕事をすることを願っているが、抜け殻のようになってしまってこの世界に戻る気になれない状況である。

さて、重田は的場への恨みを晴らすための、企業連合プロジェクトを結成していた。
ダイダロス、ギアゴーストに加え、キーシン、北堀企画の計4社。

キーシンは、前回の第6話で、野木の技術を盗んだことが伝えられた悪徳企業だ。
北堀企画は、テレビ番組制作会社らしいが、その役割は判明していなかった。

これで一体、どうやって大企業の帝国重工に立ち向かうことができるのかは謎であった。

その答えが、この第7話で明らかになる。
帝国重工の的場は、ちょっと意外な形で重田からの一撃を食らうことになる。

佃にとっても、自分のアピールポイントだった「下町発」をダイダロス掲げて本格参戦したことで、これにどう立ち向かうかも後半戦の見どころとなってきた。

P.S.
抜け殻となったイモトアヤコ、この第7話では、ボウリングをしているだけで終わった。
だが、いずれ満を持して戻ってくる日があるに違いない。

今から観るには「下町ロケット」

基本情報:TBS日曜劇場「下町ロケット」 第7話・阿部寛主演