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TBS金曜ドラマ「大恋愛〜僕を忘れる君と〜」第6話 – 戸田恵梨香・ムロツヨシ主演

台詞(せりふ)の一言一句が美しいドラマである。
若年性アルツハイマーの尚(戸田恵梨香)の運命の人、真司(ムロツヨシ)は小説家だ。彼の作品の一部が朗読されるシーンがこれまで何度かあったが、その文章の美しさに驚く。残念ながら実際には売っていない本だ。

今回の第6話。ドラマの中の台詞も小説の文章であるかのごとく洗練されていた。

まず、真司が「子供をつくりたい」と尚に願い出たときの、尚の反応。

自分はその子の成長を見届けられないし、その子も母親が記憶を失っていく辛い運命にあるだろうと、尚は困惑の気持ちを告げる。
その一言一句がずしりと伝わってくる。

次に、尚が主治医である侑市(松岡昌宏)に、子供を生むリスクに対しての医師としての意見を聞いたときの、侑市のアドバイスの内容。

回答としては「どちらとも言えない」という中途半端なものである。
しかし、これしかないと言えるような的確な納得感のある説明だった。
感情をコントロールしながら話す、松岡昌宏の役柄の解釈と丁寧な演技も絶妙だが、書かれてるスクリプトそのものが実に美しい。

さらに、侑市に頼まれて尚が医学生の前で、元医師の立場から自分がこの病気になってしまった経験を話す機会を持つことになる。

尚がPCに向かってその講演のための原稿も、小説のくだりのようだった。
産婦人科医になって、生まれたばかりの無垢な赤ん坊も、その日から死に向かっているんだ、と考えてしまったこと。
当時は仕事に追われていたので恋愛は時間の無駄だと思っていたのに、今の自分は恋愛に救われたと言うこと。

さて、今回から同じ若年性アルツハイマーの患者である保育士、松尾公平(小池徹平)が登場する。
前回の第5話で、真司の担当編集者、水野明美(木南晴夏)が登場したときは、よからぬ関係になるかも、と予感させるシーンがあったが、そういう方面にはひとまず進まなかった。

しかし、この松尾公平は違った。闇を抱えているのだ。

そしてドラマのラスト5分で、大事件が起きてしまう。

P.S.
これまで何度も出てきた蒲田の居酒屋さんは、今回はお休み。
ムロツヨシと木南晴夏が打ち合わせをする場面で、銀座のステキなお店が出てきました。
WINE HALL GLAMOUR 銀座

今から観るには:「大恋愛〜僕を忘れる君と〜」

基本情報:「大恋愛〜僕を忘れる君と〜」第6話 – 戸田恵梨香・ムロツヨシ主演