Drama View – テレビドラマのレビューサイト

関西テレビ火曜ドラマ「僕らは奇跡でできている」第6話・破れギョーザは涙の味!“ウサギ女子”の変化〜高橋一生・主演

いやぁ、素晴らしい。この秋サイコーの感動がこの第6話の最後に待っていた。

今回は、家政婦の山田さん(戸田恵子)が企画した食事会のシーンで、会話は噛み合わないし、人々の行動はバラバラだし、途中でチャンネルを替えてしまう人もいたのではないかと心配もしたが、最後まで観て本当によかった。

先週・第5話の、歯科医・水本育実(榮倉奈々)が放った涙の一言がひとつのピークだと感じていたが、この第6話の最終シーンで得られた感動と喜びは、それを遥かに超えていた。

動物行動学を教える大学講師・相河一輝(高橋一生)は、森の中にある人道を境に、リスがその片方にしか生息をしていないことを知り、道を隔てた木と木の間に橋を造ろうとする。

その橋を渡すのを手伝いに、育実は一輝について森に行ったのだが、さほど積極的にではなく、育実が主催した児童向けの歯科教室で、一輝が子供を盛り上げてくれたお礼としてだった。

やや育実の心は開かれつつあるものの、そもそも二人は全く波長が合わず、とうてい理解しあえる関係ではなかった。

育実は、若くして歯科医院を経営する女性として雑誌に取り上げられるほどの存在。
ただし、常に自分を高めようとするあまり、義務感ばかりに縛られ、まわりの人への思いやりも忘れ、彼氏とも別れてしまう。

それで、いつも自由奔放で楽しそうに生きている一輝と、がんばっているのに誰にも愛されない自分との落差を感じてみじめになり、ついに涙腺が崩壊した、というのが前回の結末の真相である。

いっぽう、そこまでの事情は知らない山田さんが、おせっかいにも二人をくっつけようとして食事会を企画する。

ただし、なんとその日は育実の誕生日。
本当は別れた彼氏からの連絡を待っていて参加には消極的だった育実だが、結局は医院のスタッフとともに参加することになる。

その席には、いつも一輝の常識外れな行動に苦言を呈している事務長を始めとして、大学の先生も勢ぞろい。
恋が進展するような状況ではなかった。
しかも、そんな全員のいる場で育実に「いくつになったんですか」と聞いてしまう一輝の無神経さは相変わらずだ。

山田さんの目論見とは違い、大した成果はそこでは得られなかった。

今回はこのまま、あまり盛り上がらずに終わってしまうのかと思った矢先…最後の10分で急激にドラマは盛り上がりを見せる。

実は、人が造った道を境にリスがあちら側の森に行けないという例は、人が造った常識や義務やいろんなものが邪魔をして、人が「あちら」に行けないことの比喩であることがわかってくる。

しかも橋があっても、橋に気づかないかも知れない。

深い。

育実も、その橋を渡れるのだろうか。次回に期待。

P.S.
この放送枠は、このような良心に満ちあふれた制作方針を貫いてほしいです。
音楽がよいのも、このドラマの特長のひとつ。ホントに森にいるようで安らぎます。

今から観るには:「僕らは奇跡でできている」

基本情報:関西テレビ火曜ドラマ「僕らは奇跡でできている」第6話 – 高橋一生 主演