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TBS日曜劇場「下町ロケット」 第5話・阿部寛主演

そもそもドラマのタイトルが「下町ロケット」なのに、なぜ今回のシリーズは農業がテーマなんだろう、と疑問に思っていた方もいるかと思う。その謎が何となくわかった回。

このドラマは、「ゴースト編」「ヤタガラス編」の二部構成となっており、本日放映された第5話が前半の「ゴースト編」の最終話となる。中締めにふさわしい打ち上げ花火のようなクライマックスの連続だった。

このドラマの流れは、絶体絶命のピンチが訪れて、最後の10分くらいでまさかの大逆転をするパターンだった。
それを観て視聴者(おもに会社勤めの男性)が勇気をもらい、月曜日の朝に颯爽と出社するのだ。

ただ、今回の第5話は、前半から妙にうまく行き過ぎた。
まあ、これまで苦労してきたご褒美なんだろう。
痛快で、観ていてなかなか気持ちがよかった。

とくに神谷弁護士役の恵俊彰。
現在オンエア中のリーガルドラマ「SUITS」の織田裕二、「リーガルV」の米倉涼子に全くひけを取らないカッコよさ。
最初の20分間は彼が持っていったと言っても過言ではないだろう。

次のクライマックスは、実家の農業を継ぐことになった経理部長、殿村(立川談春)をみんなで送り出す場面。
2015年に放映された第1シリーズからずっと観てきた視聴者にとっては、映像のなかで彼と苦労を共にしてきただけに、灌漑深い別れであった。
ただ、このシリーズの後半戦も農業にかかわりがあるので、引き続き要所要所で活躍を見せてくれるかも知れない。

そして、帝国重工による、歓喜のロケット打ち上げシーン。
佃製作所を全面的にサポートしてきたロケット事業開発の責任者・財前部長(吉川晃司)は社内の権力闘争の犠牲になり、異動を余儀なくされる。しかし、その最後の力強い挨拶の中に、第2章で宇宙と農業が結びつくらしいヒントがあった。

さて、ここまでは感動の連続だったが、この第5話は後半から雲行きが怪しくなり始める。

そもそも佃製作所の社長、佃航平(阿部寛)は、これからの農業機械のトランスミッションのビジネスに打って出ようとし、その分野で高い技術力を時誇るベンチャー、ギアゴーストとの提携を目指していた。それも、会社の経営が傾くかもしれないような金銭リスクを冒してまで、その共同経営者である伊丹(尾上菊之助)と島津(イモトアヤコ)の危機を救おうとしていた。そして裁判にも全面的に協力した。

しかし、そんな佃製作所とギアゴーストの間に、意外にも横槍が入ってしまう。
そのことを佃に報告に来たイモトアヤコの迫真の演技に心打たれる。
そして最後に彼女の口から、まさかの一言。

いつもの、大ピンチから大逆転という流れとは逆パターンで、最後に新たな大問題が発生して、この第1章は結末を迎えた。

P.S.
財前部長、なぜかスーツ姿のまま稲刈り?

今から観るには「下町ロケット」

基本情報:TBS日曜劇場「下町ロケット」 第5話・阿部寛主演