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NHK連続テレビ小説「まんぷく」第6週「お塩を作るんですか!?」〜安藤サクラ・長谷川博己

忙しくて民放のドラマも観る時間のない人にとって、朝ドラは最も敷居が高い。朝は忙しい。それに何を考えたかNHKは土曜日の朝も放送している。しかし、録画をしてでも観る価値のあるドラマがここにある。

このレビューでも言ってきたことだが、何なら今までの36話を全く観ずに、いきなり来週から途中合流でも充分楽しめるはず。チキンラーメンを世に出した日清食品の創業者、安藤百福(あんどうももふく)をモデルにしたドラマであるが、今週はまだ「塩」を製造していた。

これまでの経緯もわからないと困る、という方は、NHKの公式サイトにある、過去6週分のダイジェスト動画をサクっと視聴して、月曜からぜひリアルタイムで。

先週のハンコ造りはNHKの創作による逸話であるが、安藤百福氏が塩の製造をやっていたのは事実のようだ。

朝ドラは1話あたりの時間は短いものの、週6回、半年間放映されるので、話の進みはゆったりとしており、人物像もいわゆる「こんな人」と言う一面的な描写だけでなく、時間をかけて複雑な色合いが浮かび上がってくる。

長谷川博己が演じる立花萬平は、最初のころは誠実な芯の強い男に見えていたが、この第6週では経営者としての手腕が全くない、だらしない人物であることがわかる。相棒となった帰還兵の神部茂(瀬戸康史)も、塩を造るには人集めをしなくてはいけないと聞いて、14人もの若い男たちを大阪から連れて来てしまう。

なんてこった。これだけの人数を食べさせていけるだけの運転資金の見込みはあるのだろうか?

実在した安藤百福は、戦前から実業家として活躍していたので、おそらくこんな人物ではなかっただろうが、この萬平のキャラクターはNHKの創作によるものだろう。

確かに萬平は、引っ越して来た旧陸軍の倉庫跡地に鉄板が81枚もあることと、近所の食堂で市場に塩が足りていないことを聞いて、海水から塩の製造をしようというアイデアをひらめいたり、図面を描き出すと夢中になって夜を徹してしまうような、天性の発明家である。

ただし、資金繰りにはまるで無頓着だ。

そして、ここには「下町ロケット」の殿村経理部長のような、もの造りに情熱を燃やした社長を支える、金策に長けた番頭さんもいない。

結果的に、妻・福子(安藤サクラ)や、母・鈴(松坂慶子)が大車輪の活躍をして、人に頭を下げてお金を造り、14人もの従業員のメシ炊きをするのが、この第6週だった。

第1話から、やりたいことを邪魔するだけのめんどくさい存在だった鈴も、今週は格段頼もしい存在になっていた。

男どもが見境なくやりたい放題やって、影で女性が支えるという昭和的な設定に抵抗を感じる人もいるかも知れないが、安藤サクラと松坂慶子の強烈なキャラクターで、「影」には見えていないのがバランスがよいとも言える。

たしかに萬平が経営にも創造にも長けているワンマン社長だったらドラマもつまらないだろう。
さすがにちょっと呆れる場面もあったが、土曜日の第36話では、ちょっとホロっとくる場面もあって、なかなか手応えのある週であった。

まだ塩製造をしているわけだが、この週もラーメンは大事な役割を果たしていた。
いつインスタントラーメンの製造を思いつくのか、楽しみである。

P.S.
ラーメンが美味しそうで、今すぐにでも食べに行きたくなる。

今から観るには:『まんぷく』

基本情報:NHK連続テレビ小説『まんぷく』第6週「お塩を作るんですか!?」