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TBS日曜劇場「下町ロケット」 第4話・阿部寛主演

第1シーズンで敏腕ぶりを発揮した神谷弁護士が今回も大活躍。神谷役の恵俊彰は、本当にそういう弁護士がいるかのように感じるほどのハマリ役。「ひるおび!」で難しいニュースをわかりやすく解説してきた経験値のなせる技か、キレ味のいい理知的な語り口が光る回であった。

さて、第3話の結末で神谷弁護士が、佃が支援しているギアゴースト社の機密情報が外部に漏れているらしいことを指摘するシーンがあったが、この第4話で、その内通者が判明する。
ギアゴーストに15億円の損害賠償を訴えているケーマシナリー社の知財部長・神田川敦(内場勝則)と、同社の顧問弁護士・中川京一(池畑慎之介)が高級中華料理店の個室で密談している姿が、これまで何度か映し出された。その席には第三の人物が座っていたが、今回はカメラがその正体を明かす。

それがまさかの人物だった。

タクシーの中でギアゴーストの共同経営者、伊丹(尾上菊之助)と島津(イモトアヤコ)が神谷から渡された封筒を開けて、その裏切り者が判明するシーンだけで、ご飯3杯はイケるくらいインパクトがあった。

ただ、あえて突っ込みどころとしては、その中華料理店に出入りしている人物がもう一人いて、そのあたりの関係や意味づけが不明だったのが、ちょっと不完全燃焼な印象も受けた。

いっぽう、第1シーズンでも会社を救う大活躍をし、前回の第3話でも帝国重工の意地悪極まりない信用調査を跳ね返した佃製作所の経理部長の殿村直弘(立川談春)が今回の「主役」であった。

佃製作所の農業分野への進出が今シーズンのひとつのテーマだが、そのきっかけとなったのは、殿村が新潟に先祖代々続いた農家の息子だったことだった。第3話で、父親が倒れて殿村が信用調査に間に合わないシーンがあったが、その父親もついに観念して、他人に田んぼを任せることを決意する。

夕日のなかで、その父親が田んぼに向かって何度もお辞儀をするシーンが美しい。

家を出て20年間会社員を続けてきて、なおかつ佃製作所での自分の居場所を見つけた殿村は、もともと家業を継ぐ気がなかった。しかし、その父の姿を見て、心が揺れる。

それが予告編でちらっと流れていた「辞めようと思う」に繋がるのだ。

殿村が、父と全く同じように、佃製作所で「ロケット品質・佃プライド」と書かれたボードに何度もお辞儀をしているシーンが涙を誘う。

これまで何度も佃製作所のピンチを救ったヒーローで、ときには無謀とも言える経営判断を経理の立場で認めてきてくれた佃スピリットのよき理解者の申し出を、佃はどう受け止めるのか。
なかなか見応えのある結末だった。

P.S.
佃のスマホの着信音は、スターウォーズのテーマ。

今から観るには「下町ロケット」

基本情報:TBS日曜劇場「下町ロケット」 第4話・阿部寛主演