この新ドラマの主役である元弁護士・小鳥遊翔子(たかなししょうこ、=米倉涼子)の人物設定で意外だったのは、彼女が筋金入りの鉄道ファンであるということだ。

それはドラマ「HERO」で木村拓哉が演じる久利生(うりゅう)検事がテレビショッピングのマニアなのと同じように、デキる法律家の別の顔を見せることで、人格に彩りを加えるためのものだろう。ただ、視聴者の立場としてこんなことを心配する必要もないが、キムタクのそれと違ってずいぶんドラマの制作費がかかりそうな趣味でもある。

事実、冒頭からロケシーンだ。

今回のテーマとなる殺人事件の死体がちょっと映ったあと、急斜面を登る御岳登山鉄道で、翔子が管理人を務める京極法律事務所のメンバーを引き連れて小旅行をしているシーンに切り替わる。鉄道ファンにもドラマを観てもらおうという意図があったのかどうかはわからないが、ガチで鉄道ネタは毎回使われそうだ。

そう言えば、日テレのドラマ「正義のセ」で安田顕が演じた事務官役の相原勉も、なぜか鉄道ファンだった。きっちりとした時間に番組を放映するテレビマンにとって、時間に厳格な鉄道業界は親和性があるのかも知れない。
そして、日テレのバラエティ「笑神様は突然に・・・」の名物コーナーに出演している「鉄道BIG4」の一角であるホリプロマネージャー・南田裕介氏が、ドラマのアドバイザー的な役割を担当している模様だ。

ただ、実際の米倉涼子は鉄道ファンではない(だろう)ことから、監修者が作成した鉄道知識を、セリフとして言っているような印象がまだある。
もちろん、米倉涼子は医師でも弁護士でもないのに、それを演じてきた。ただ、先入観だろうか。何かまだしっくり来ない。まだ始まったばかりなので、だんだんとキャラクターの一部として命が吹き込まれるかも知れない。

勝手な想像だが、六角精児とか中川家の礼二とか、鉄道ファン芸能人が、米倉涼子が鉄道好きになったきっかけとなる人物として現れて相棒となり、時刻表を使ったアリバイのトリックを暴く回などがあるのかも知れない。

さて、第1話の痴漢冤罪、第2話のパワハラに続いて、今回の第3話は、満を持しての殺人事件。テレ朝ドラマの真骨頂でもある。今回の事件は、まさに京極法律事務所が出かけてきた河川沿いで2ヶ月前に起こったものだった。

事務所のメンバーがバーベキューをしていた場所に、背広姿のヤメ検弁護士・大鷹高志(勝村政信)が現れ、事情を話す。
被害女性の夫・浅野洋平(桐山漣)が容疑者として挙げられているが、アリバイが成立していないうえに態度が悪い人物であったため担当弁護士が降りてしまった。そのあとでヤメ検・大鷹にお鉢が回ってきたというわけだ。

妻に多額の保険金がかけられていたことと、浅野には愛人もいたことから、マスコミ報道やネットで大きく騒がれていた。ただ、浅野は一貫して無実を主張しており、妻と喧嘩をして先に帰り、犯行時刻には既に新宿にいたと言う。しかし、殺害現場の周辺でも浅野を目撃したという証言がたくさん集まっていた。

かなりの難事件ではあるが、事務所の知名度を上げるチャンスとみた翔子は、大鷹をサポートすることを決めてしまう。

さて、犯行時刻に現場近くで撮られた、赤いパーカーを着ている容疑者の写真。そのブランドが「シマクロ」というユニクロとしまむらを合わせたようなネーミングで、背中にユニクロっぽい正方形のロゴが入っている。すなわち誰でも持っている服である。したがって、写真に写っていただけで犯人と言えるのかどうか、目撃者も同じ服を着ている別人と間違えていないかどうか。それが今回の大きなポイントでもある。

唯一のアリバイになるかも知れない、容疑者が高校時代の先生、蟹江光晴(岡本信人)夫婦に、犯行時刻に新宿で偶然出会って会釈をした、という証言があった。
ところが翔子と大鷹が、静岡にあるその教師の家を訪れると、新宿なんて10年も行ってない、と言う。蟹江の妻、光代(原日出子)も、そんな物騒なところには行かない、と。

しかも、裁判の相手が手強かった。

弁護士と判事が同郷、同窓のズブズブの関係で、公判中に大鷹が意義を述べても次々に却下される。

こんな八方塞がりの状況から、翔子はどうやってミラクル大逆転を生み出したか。それが見どころである。
静岡の教師宅で何気なく出されたミカンがヒントになっているところがセンスいい。

前回のレビューで、米倉涼子一強のような造りになっていて、他の俳優陣の活躍がまだ物足りないと書いたが、だんだんとチームワークが形作られる片鱗が見えてきている。所長になった京極雅彦(高橋英樹)が実はカメラマニアで、現場の再現写真の撮影に尽力したり、元ストーカーで服役していた(にもかかわらず事務所に雇われた)馬場雄一(荒川良々)が尾行役で決定的瞬間を捉えたり。
ちなみに伊藤理恵(安達祐実)が滝に向かって「過去を洗い流したい」と叫ぶシーンがあったが、彼女も元銀行員で横領で服役していた過去を持つ(にもかかわらず事務所に雇われた)。

ひとりひとりの個性が浮かび上がってくれば、事務所は翔子率いるツワモノ集団に成長するに違いない。
まだ発展途上かも知れないが、何となく「型」が決まってきた感がある。

次回は、あの「紀州のドンファン」事件をモデルしたストーリーのようだ。

P.S.
登山鉄道の中でシャンパンを飲むシーンがありました。
以下、旅先の列車内でシャンパンを楽しむときの5か条をご案内します。

・シャンパングラスは口が細いので、揺れると注ぎにくいです。列車が動き出す前に注ぎましょう。
・注ぐときにグラスを傾けると、泡が立ち過ぎず、多めに注ぐことができます。
・シャンパンの瓶に振動を加えると開けるときに泡が吹き出すので、丁寧に持ち運びましょう。
・ポン、と音がすると他の乗客がびっくりしますので、布巾などで栓を包んで静かにゆっくり開けると、ほぼ無音で開けることができます。
・飲みかけの場合、瓶の置き場に困ります。コルクで栓をし直すのは結構むずかしいので、少人数の場合は、ワイン用に売っているプラスチックの栓をワインショップで買っておくと便利です。

基本情報:テレ朝木曜ドラマ「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」第3話 – 米倉涼子主演

  • タイトル リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~
  • チャンネル テレビ朝日系列
  • 番組公式サイト トップ あらすじ 人物相関図 スタッフ
  • 放送日時(第3話) 2018年10月25日(木)21:00〜21:54
  • 出演
    • 小鳥遊翔子・たかなししょうこ(元弁護士):米倉涼子WikipediaWikipedia
    • 京極雅彦・きょうごくまさひこ(代表弁護士):高橋英樹WikipediaWikipedia
    • 大鷹高志・おおたかたかし(弁護士、元検事):勝村政信WikipediaWikipedia
    • 青島圭太・あおしまけいた(弁護士):林遣都WikipediaWikipedia
    • 馬場雄一・ばばゆういち(パラリーガル):荒川良々WikipediaWikipedia
    • 伊藤理恵・いとうりえ(パラリーガル):安達祐実WikipediaWikipedia
    • 茅野明・かやのあきら(パラリーガル):三浦翔平 WikipediaWikipedia
    • 海崎勇人・かいざきはやと(ライバル事務所弁護士):向井理WikipediaWikipedia
    • 白鳥美奈子・しらとりみなこ(ライバル事務所弁護士):菜々緒WikipediaWikipedia
    • 中沢淳美・なかざわあつみ(ライバル事務所秘書):宮本茉由 WikipediaWikipedia
    • 天馬壮一郎・てんまそういちろう(ライバル事務所代表):小日向文世WikipediaWikipedia
    • 神保有希・じんぼゆき(鉄道バー店員):内藤理沙WikipediaWikipedia
  • 第3話ゲスト
    • 浅野洋平・あさのようへい(妻殺害の容疑者):桐山漣WikipediaWikipedia
    • 蟹江光晴・かにえみつはる(美術教師):岡本信人WikipediaWikipedia
    • 蟹江光代・かにえみつよ(蟹江光晴の妻):原日出子WikipediaWikipedia