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日テレ水曜ドラマ「獣になれない私たち」第3話 – 新垣結衣・松田龍平 主演

第1話の最終シーンで、自分の好きなファッションで出社して、社長にモノ申したガッキーはカッコよかった。だが、この第3話では、本来の深海晶(しんかいあきら、=新垣結衣)の持つ、わかっていても他人の犠牲になってしまう性格が、せつない形でクローズアップされる。

かつて職場の同僚だった晶と花井京谷(はないきょうや、=田中圭)には、お互いに彼氏・彼女がいた。
だけど惹かれあった。
晶のほうは彼氏と別れた。
ただ、京谷のほうは同棲している彼女、長門朱里(黒木華)と別れられなかった。
そもそも京谷が「仕事がつらければやめてウチに住めばいい」と言って呼び寄せた女だ。しかしその後、女は仕事を本気で見つけようともせず、彼のマンションに居座ったまま、4年もの月日が経ってしまった。

そういう状況である。

晶はなぜ、こんな我慢ならない状況を4年も許してるわけ?
京谷は一体なにやってんだ。早くその女を部屋から追い出せ。

…というのが、第三者から見た、極めて一般的な意見だろう。

ところが実は、視聴者の多くは、晶のように理不尽な目に合いながらも我慢して、周囲に笑顔を振りまいて生きている「獣になれない」私だったりしないだろうか。

もし、他人が置かれた状況に対してなら、強い意見を言うかも知れない。
ただ、自分のこととなると、どう考えても文句を言うべき状況だとわかっていながら、我慢してしまっていることはないだろうか。そして、犠牲になってすり減っていることを気づいてもらえないとしたら、こんな悲しいことはないだろう。

このドラマでは新垣結衣が、そんな「獣になれない」私を、今の私の代わりに演じてくれているのだ。

この第3話は、後半40分過ぎくらいに静かなクライマックスの始まりとなる。

バー「5 tap」に居合わせた、唯一の自由な女(=獣)である橘呉羽(たちばなくれは、=菊地凛子)が、晶と京谷の前でズバリと「正論」を述べてしまう。

呉羽に対してムキになって反論する晶の姿が、せつない。

呉羽の言うとおりだ。
でも認めたくないのだ。

帰り道で、公認会計士である根元恒星(松田龍平)が、晶の置かれた状況を監査用語で説明するくだりが面白い。

恒星が言う。

どんな会社の会計でも、何かしら小さい瑕疵(問題)がある。
ただ、全体としてオッケーなら監査用語で「無限定適正意見」となる。
いっぽう、どう見ても不適切な点があるけれど、それ例外の問題がなければ「限定付適正意見」となる。

それで恒星は晶のことを「御社の場合」と例える。

…彼氏の家に元カノがいるけれど、それ以外の問題がなければ、全体的にはセーフとしてもよい。

晶が言う。

…よくない。

そうだよね、よくない。

ただ、かつてバーの1周年パーティに持ち込まれた貴重なビンテージビールを、晶が笑顔で他のお客さんに注いであげているうちに、自分も飲みたかったそのビールがなくなってしまうシーンが映る。

こんな晶の生き様に共感を覚えるか、それとも「バカじゃないの」と思うかは、視聴者の自由だ。
世の中にはいろんな立場の人がいる。

P.S.
かつて東芝の不正会計が発覚し、監査法人が「意見不表明」としたのがニュースになった。監査用語では、松田龍平がドラマの中で述べた全体としてはセーフとも言える「限定付適正意見」よりも深刻なレベル「不適正意見」がある。そして「意見不表明」は、さらに話にもならないレベルである。恋愛だったら、どんな状況なんだろう…

今から観るには:「獣になれない私たち」

基本情報:日テレ水曜ドラマ「獣になれない私たち」第3話 – 新垣結衣・松田龍平 主演