Drama View – テレビドラマのレビューサイト

NHK連続テレビ小説「まんぷく」第3週「そんなん絶対ウソ!」〜安藤サクラ・長谷川博己

先週土曜日、第12話の最終シーンで、立花萬平(長谷川博己)が、逢いに来た福子(安藤サクラ)の目の前で憲兵に連れ去られてしまう。
これに続く第3週は、月曜日から土曜日まで畳み掛けるような大きな展開が待っていた。

大きな気がかりポイントは以下。

・萬平が助かるのかどうか?いずれ日清食品を創業し、チキンラーメンを世に出す人物なので、釈放されるとは思う。ただ、全く見込みがない。
・そもそも福子と萬平の交際に反対していた母・今井鈴(松坂慶子)は、この状況でさらに頑なになってしまった。チキンラーメンを世に出す人の妻になるはずだが、とても結婚まで進みそうにない。

そこで、萬平に前々からアプローチをしていた世良勝夫(桐谷健太)が大きな「活躍」をする。

ただ、この男、ピュアな正義感から立花を助けようとしたのではない。

福子の勤務先のホテルを訪れた世良は萬平について「立花くんは、親友言うてもいい。ラーメンを一緒に喰った仲や」と言い放つ。一瞬、視聴者が「おお、やはりこの男が救うのか」と思う。
ところが福子が、萬平が連行されたという事情を話し、力を貸してほしいと頼みこむと、世良は「ラーメン喰うただけや」と手の平を返してしまう。

基本的には自分の損得を優先するズルい商人だったのだ。

むろん、時代は戦時中で、憲兵に捕まった者は、たとえ無実でも釈放される見込みは、まずない。
世良とて、下手にアプローチしようものなら、自分にも危害が及ぶかも知れない。

何の糸口も見つからず、途方にくれる福子。

いっぽう萬平は、拷問に合っても無実を訴え続ける。
与えられた食事もとらない、頑固一徹である。
しかし、牢屋のなかで出会った稲村大悟(六平直政)と徐々に心が通じ合うなかで、福子という大切な人がいるなら生き伸びてここを出ようと決意する。
稲村が隠し持っていたおにぎりを食べるシーンの会話。
萬平「まずい」
稲村「当たり前や」
空腹だったので本来は何を食べても美味しく感じるかも知れない。
だがこれが、いずれ日本の食文化を変えるはずの立花のこだわりの伏線なのかも知れない。

そして木曜日の第16話に、福子の勇気ある行動が元で、局面が大きく変わる。
これまで消極的だった世良は、勝算があると感じたその瞬間から、スイッチが切り替わり、翻意して協力的になる。
そのあとは大活躍だ。
そして、うまく行くと「僕ははじめから信じてたで、立花くんが横流しなんかするわけないってな」と言い放つ。

このような複雑な後味の残る人格を、桐谷健太が好演している。

今回は萬平を見捨てた極悪人となってしまった加地谷(片岡愛之助)だが、もしかしたら乱世を生きる商売人としては、世良と紙一重だったかも知れない。

そして、この週の貢献者がもうひとり。理創工作社の従業員、竹ノ原大作(宮田佳典)だ。
彼の証言によって、ことは大きく動く。

実は彼は、第1週のクライマックスシーンである咲(内田有紀)と真一(大谷亮平)の結婚式で、幻燈機を使う萬平の助手として出演していた。つまり、萬平と加地谷(片岡愛之助)が組んで「理創工作社」を設立する前の「たちばな工房」の時代から、萬平を慕っていた人物なのだ。
彼はこれから出征してしまうが、いずれ戻ってきてチキンラーメンの発明にも貢献してくれる予感がする。

さて、視聴者の関心事は、んなにまでして萬平を慕う福子の気持ちを認めて、母・鈴(松坂慶子)が、ふたりの結婚を許すのかどうかに移る。

福子の親友2人とホテルの同僚、おまけに歯医者・牧善之介までが束になって玄関に押し寄せ、全員が福子の味方をする。さらに、これまで無言で絵を描いていることが多かった福子の姉の夫、香田忠彦(要潤)までもが、鈴に強い言葉で訴える。

そして母は、ぽつりと一言…「みんなあなたの味方なのね」

そして土曜日の第18話。
果たして母は、最後に折れるのかどうか、それは見てのお楽しみである。

P.S.
加地谷(片岡愛之助)が屋台での密談を聞かれてしまった回の終了後「あさイチ」で、博多華丸・大吉の「屋台で内緒話はバレるよ」「中洲でもね」がウケた。
録画している方は、切れてしまうので残念だが、朝受けも毎日おもしろい。

今から観るには:『まんぷく』

基本情報:NHK連続テレビ小説『まんぷく』第3週「そんなん絶対ウソ!」