Drama View – テレビドラマのレビューサイト

TBS金曜ドラマ「大恋愛〜僕を忘れる君と〜」第2話 – 戸田恵梨香・ムロツヨシ主演

若年性アルツハイマーを扱ったドラマである。

まだ第2話だが、これから尚(戸田恵梨香)の記憶はどんどんなくなっていくのであろう。
韓国映画「私の頭の中の消しゴム」も後半になるにつれ、涙がボロボロ出てくる。

ただ、主人公が不治の病にかかったいう設定で、お涙頂戴ドラマをつくる、というのはちょっとズルい。

そりゃ泣くに決まっているからである。

しかしながら、このドラマは制作者の方々が良心や節度を保ってこの題材に真摯に取り組んでいる印象を受ける。

もちろん、実際にこの病と向き合っている視聴者の方々は、ドラマのネタにされていること自体をよく思わないかも知れない。ただ、テレビでそれを扱うことで、少なからず病気に対する理解を深めることにもなる。
簡単な質問をする簡易検査のシーンを見て、自分でもその場でやってみた視聴者もいるのではないだろうか?

さて、第1話で間宮真司(ムロツヨシ)に出会ってしまった尚は、婚約者だった井原侑市(松岡昌宏)に一方的に婚約解消を言い渡す。ただ、その侑市は、皮肉にも若年性アルツハイマー研究の第一人者だった。彼が単に真実の愛に勝てなかった男に終わっていないところが、このドラマのポイントでもある。
侑市は尚の取った身勝手とも言える行動に対して感情をぶつけることもなく、医師として冷静に、尚にMCI(アルツハイマー病の前段階)の疑いがあることを告げ、検査、そして入院を勧める。

その反面、両家の母親は、ちょっと残念な人たちとして描かれている。

まず、尚の北澤薫(草刈民代)は、まあ当然と言えば当然だが、せっかく決まっていた医師同士の結婚をぶち壊しにした真司の存在が許せなくて、家まで押しかけて詰問する。
そして侑市の母、井原千賀子(夏樹陽子)は、結婚前に尚の病気がわかってよかった、と婚約破棄になったことを喜んでいる。「早く健康でいいお嫁さん探さなきゃ」とまで言う。まあそんなものかも知れない、現実は。

最終シーンで、尚から病気であることを告げられた真司が返す言葉にホロリとする。
これから何話にもわたって尚の病気が進行していくだろう。
砂漠を歩くことになってもいい、と言った真司に対して、本当に砂漠を歩くような辛く悲しい現実が降りかかるんだろう。

そして、キスしようとする真司を、尚が手のひらで止めて、泣き笑いしながら言う。

…今じゃない

ジーンとくる、第2話の名シーンである。

P.S.
道路の向こう側にいる戸田恵梨香を見つけて、歩道の柵をひらりと飛び越えるムロツヨシさんの動きが軽快だった。

今から観るには:「大恋愛〜僕を忘れる君と〜」

基本情報:「大恋愛〜僕を忘れる君と〜」第2話 – 戸田恵梨香・ムロツヨシ主演