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日テレ水曜ドラマ「獣になれない私たち」第2話 – 新垣結衣・松田龍平 主演

このドラマの重要な舞台になっているのが「5tap」という、クラフトビールのバーだが、この作品、ある意味クラフトビールのようなドラマだ。

大量生産される工業製品としての大手ビールメーカーの大衆向けのビールと、クセのある雑味や風味を含むクラフトビールの違いのようなものを感じる。
もちろん日テレのドラマのヒット枠なので、あまりにもマニアックすぎる作品にするわけにもいかない。かと言って、大手メーカーの当たり前のビールのように造らず、微妙な雑味をブレンドしているのがたまらなくステキな作品である。

そして、この第2話。前回のラストシーンで見せてくれた、新垣結衣のカッコいいファッションの「続き」をいろいろ見ることができるのも楽しい。ただ今回、ストーリーは前に進むだけではなかった。

ふつうに考えると、煮え切らない関係だった晶(新垣結衣)と、京谷(田中圭)の距離が離れていき、晶は恒星(松田龍平)と急接近するのではないか、とも予想できる。

ただ今回は、わざわざ時間を巻き戻して、晶と京谷の出逢いから親しくなるまでの過程を、相当長い時間を使って丁寧に描写していた。それも、会社勤めをしたことのある人なら、自分でもきっかけがあれば同じような職場恋愛をしたかも知れない、と思えるようなリアリティをもって描かれている。そして今は、京谷は晶との結婚を前提につきあっているのに、家に元彼女の朱里(黒木華)が同居している事情も明らかになる。

いっぽう、恒星(松田龍平)と別れて別の男と電撃結婚したファッションデザイナーの呉羽(菊地凛子)が「結婚するような相手と恋に落ちた瞬間には、鐘が鳴るのだ」と言う。ただ、晶にも恒星にも鐘の音は聴こえない。

ドラマは、畳みかけるようなストーリー展開をせず、まだどんなビールに仕上がるのかもわからない、ゆっくりとした熟成の過程にある。

そして最終局面では、冷徹さ、やさしさ、ズルさが混在する恒星の人格を垣間見る。
また、第1話で社長に突きつけた晶の業務改善要望に対する意外な回答が出て、この第2話は終わる。

最終話まで、じわじわ美味しくなっていく過程を見守りたい。

P.S.
バーの前で迷っていたら「入らないの?」と松田龍平に言われ、ガッキーが返す「はいりまーす」が可愛い。

今から観るには:「獣になれない私たち」

基本情報:日テレ水曜ドラマ「獣になれない私たち」第2話 – 新垣結衣・松田龍平 主演