前回・第7話で、井沢範人(沢村一樹)の妻子を殺めた疑いがある宇佐美洋介(奥野瑛太)が、その件は立証できず別件犯罪の刑期を終えて出所することがわかったが、この第8話は、この二人が拘置所の門で対面する緊迫のシーンから始まる。しかし、この謎解きは第9話以降に持ち越しのようで、さっそく今回も警視庁の「ミハンシステム」が未来の犯罪者をはじき出すシーンに変わる。
この第8話の予告編で、ウエディングドレス姿の花嫁がバージンロードで拳銃を構えるシーンが流れていたが、今回のメインゲスト、すなわち凶悪犯罪を起こすかも知れない危険人物は、結婚を1週間後に控えた若い女性・砂田繭美(白石麻衣)だった。

ミハンが彼女に注目したのは、違法な手段で拳銃を手に入れたからだったが、整形手術で顔を変えていることも同時にわかる。ミハンチームのボヤき男、南(柄本時生)の「はーい出た!人口美人かよ」という反応が相変わらず笑える。ただ、手術前の繭美(吉田怜菜)も美人であり、この犯罪を成立させるために人相を変えていることは想像がつく。

市役所の戸籍住民課に務める繭美に近く手段として、井沢(沢村一樹)と小田切(本田翼)が、婚姻届けを出しに来た夫婦という偽装を使うが、ちょっと無理矢理な設定ではあるものの、本田翼の、あえて「わざとらしく」喋る演技が秀逸である。
そして、これも出来過ぎな設定だが、井沢と小田切は、繭美の結婚相手・神谷統一郎(入江甚儀)の家に招かれて潜入することに成功する。

立派な屋敷で、病院経営者である統一郎の父・神谷竜太郎(入江甚儀)を含め、5人で食事をすることとなる。母は他界したらしい。
井沢と小田切が偽装夫婦であることがバレそうなシーンがあっても緊迫感があってよかったような気もするが、探りを入れながらも表面的にはなごやかな会話が進むなかで、デザートの時間となる。彼女が結婚式の場で殺そうとしているのは、まさかこの婚約者なのか、それとも父なのか?
そこで突然、家に石が投げ込まれる。そう言えば、繭美には謎の男がつきまとっていたのだ。
彼女がこのストーカー男から身を守るために、拳銃を所持しているのだろうか?
いや、整形までしてこの家に近づいたんだから、たぶんこの父親か息子のどちらかがターゲットで、晴れの席で恨みを晴らしてやろう、としているのが、普通に予想できる流れだろう。

このストーカー男まで絡んで、繭美がどんな恨みを晴らそうとしているのかは、徐々に明らかになっていく。その謎解きの過程はなかなか見事な運びだったが、これまでの回で体験したような、スリルとサスペンスが、ちょっと物足りない。
やはり最後にこの花嫁が拳銃を構えるのがわかっているからかも知れない。そして結末のバージンロードのシーンが、復讐心が煮えたぎるような凄みのある迫力に欠けたからかも知れない。

いっぽう、シーズン1、2の主演を務めた上戸彩が扮する桜木泉は、このシーズンの第1話、2話にも少しだけ登場するが、彼女と近い関係にあったのが、ミハンチームの山内徹(横山裕)である。この第8話の途中に、その桜木泉、殺された井沢の妻・井沢康子、そしてもうひとり殺された赤川武志という警察官警官の3人に潜む、謎の関係がクローズアップされる。そして、その桜木泉の元上司で、今はもう警察を辞めている長嶋秀夫(北大路欣也)が現れて、山内に探りを入れてくる。長嶋は、井沢にもアプローチする。そして、ミハンシステムの開発責任者・東堂定春(伊藤淳史)にも。いったい彼の狙いはどこに?

新たな謎が深まるが、次週の予告編を見て「あっ」と、驚く。
この、全話に渡って繰り広げられる謎解きも見ものである。

P.S.
本田翼の七変化も、このドラマの楽しみのひとつ。
今回は、神谷家にお呼ばれの際に着ていくケイト・スペードのワンピース姿が可愛らしく、アクションシーンのワイルドなイメージとのよいコントラストになっている。

基本情報:フジテレビ月9「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」第8話 – 沢村一樹 主演

今から観るには:「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」