このドラマでは、未然犯罪を食い止めるのが目的だったのに、その副産物として、殺されるはずだった「本当に悪い奴」の命が助かってしまうというジレンマが突きつけられる。しかも、その極悪人は、命が助かるばかりでなく、罪にも問われない。

これまでは、なぜかドラマの最終シーンで、その極悪人に「天罰」が下っていた。
前回・第6話で、これが内部の人間の仕業で、自らの手で、その極悪人を懲らしめていたことが判明する。
いくら悪を憎む正義感があるとは言え、警察官が個人的に暴走して人を殺してしまうのは当然許されることではない。
ただ、まさしくこれは、警視庁が秘密裏に開発を進める未然犯罪予測システム「ミハン」による捜査によって生まれた悲劇だった。

そして、チームメンバーの心に空いた穴が埋まらず重苦しい雰囲気のなかで、またミハンによる新しい捜査が始まってしまう。なかんずく、第6話の最終シーンでマイク越しに叫んでいた南彦太郎(柄本時生)は、ミハンが引き起こした悲劇に耐えきれなくなり、チームを離脱しようとする。

果たして、このような状況でミハンチームは空中分解せずに、まとまっていけるのか?そんなテーマの第7話であった。
凶悪な事件を扱う警察官なら何度も出くわすかも知れない、この極悪人をこの場で自ら「処罰」してやりたい、という怒りが増幅される回でもあった。

そして、井沢がかつて自ら拳銃で「仕返し」をする寸前まで行った妻子を殺した「犯人」である宇佐美(奥野瑛太)が出所する。
殺人の立証はされず別件での服役だったため、井沢にとって、いまだに未解決な事件でもある。
また、第2話で一旦区切りがついたかに見えた、桜木泉(上戸彩)がベトナムに潜伏していた謎とのつながりもクローズアップされる。

それを受けての第8話のメインストーリーは、予告編によれば、結婚式会場を舞台にした、また別の未然犯罪を扱うようだ。
その背後で過去の事件が絡み合う副筋が展開されるようで、それも楽しみである。

P.S.
子供にとっての正義の味方が誰だったか、最後にわかる。

基本情報:フジテレビ月9「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」第7話 – 沢村一樹 主演

今から観るには:「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」