柔らかい人あたりながら、頭脳明晰で実行力もある捜査官・井沢範人(沢村一樹)率いるチームが、AI技術を駆使したコンピューターシステム「ミハン」によって予想された「未来の犯罪」を食い止める、という犯罪ドラマの第4話。

さて今回、未来の容疑者として「ミハン」がはじき出したのは、勤続36年の銀行員、佐伯卓郎(小野了)だった。前回・第3話は、意識不明のまま入院している女性が犯罪を起こす、と言うAI予想だったが、今回も、極めて善良そうな人物だけに、犯罪の動機が見当たらない。

極秘捜査チームの小田切唯(本田翼)は、その佐伯が勤める「わかば銀行」の支店に、すでに行員として潜入している。
そして、客を装って行内に潜入したのは、一見お荷物な頼りない存在でありながら、前回は危機一髪で爆発物を処理するなど、多彩なスキルを持つ、田村薫(平田満)。

「ミハン」は、全国の一般市民の個人情報にアクセスするなど、違法捜査でもあるので、プロジェクト自体が極秘だ。
チームメンバーの所属は、表向きは「資料課」であって、銀行に潜入をしていること自体、実は捜査一課に対しても内緒なのだ。

ただ、冒頭シーンから、事態は予想もつかない方向に展開する。
なんと、拳銃を持った覆面の銀行強盗が乱入するのだ。
小田切が密かに仕込んだカメラにその様子が映り、井沢は驚愕する。
この潜入捜査は極秘であるため、この情報を捜査一課に渡すことは、「ミハン」プロジェクト推進役の東堂(伊藤淳史)が許さない。

そして、そもそも、犯罪を起こすとミハンが予想したのが支店長の佐伯なのに、現場では逆に彼が拳銃を突きつけられている。

佐伯支店長は、このあとミハンの予想のとおり、犯罪を起こすのだろうか?
この銀行強盗は、佐伯と関係があるのか?
極秘捜査チームは、捜査一課にバレずに事態を収拾できるのか?

この、複雑に絡み合った糸口が見えない状況から、井沢を中心としたチームが事件の謎をクリアにしていく展開は、鮮やか。
そして背景にある登場人物の意外な関係も簡単には見破りにくい構造になっていて、最後の種明かしまで目が離せない。
そして、潜入したはずなのに支店長と同級生だったために正体がバレてしまい、おまけに腹痛のため強盗が入った瞬間は現場にいなかった田村(平田満)を始めとして、奥に秘めた正義感で果敢に捜査に挑む山内徹(横山裕)、ボヤきながらも結果的には事実解明に多大な貢献をしている南彦太郎(柄本時生)、毎回の七変化で勇気ある潜入をする小田切唯(本田翼)を含めた捜査メンバーの個性がはっきり演出されており、このドラマならではの混沌とした雰囲気を醸し出している。

面白さの完成度がグッと増した第4話だった。

P.S.
前回第3話のレビューで、この第4話も最後の最後に何かあるんだろう、と書いたが、今回はその予想は外れてしまった。
そしてミハンが最初に「お題」を出すだけであまり役に立っていないと述べたが、今回は捜査の途中でも少し活躍していた。

今から観るには:「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」

  • 第1話〜最終話:FOD – フジテレビの動画配信サービス(月額888円+税、無料お試しあり)

基本情報:フジテレビ月9「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」第4話 – 沢村一樹 主演