いよいよ最終話。

経験値が足りないながらも頑張り屋さんな、愛すべき正義の化身・竹村凜々子(吉高由里子)とも今日でお別れ。
吉高由里子さんは、今日限りでその役柄を卒業して、吉高由里子に戻るのだ。

終わってみて感じるのは、毎週水曜日に必ず見ることができた、ドラマのタイトルにふさわしい正義感溢れる凜々子にも、相原事務官(安田顕)を始めとする港南支部の同僚たちにも、そして東京の下町で豆腐屋を営む人情溢れる家族たちにも、来週から逢えなくなる寂しさだ。リアルに存在しそうな、温かみのある人間関係に画面を通じて触れることができるのは、今日限りだ。

最終話の凜々子は、女優・吉高由里子が演技をしているとは思えないほど、純粋に凜々子だった。それくらい、確固たる愛すべき存在になっていた。

さて、その最後を飾る最終話で扱ったのは、国会議員の息子が殺人事件を起こしたが、正当防衛による無実を訴えているという事件だ。
その国会議員の親があらゆる手段を使って検察に介入してくる。
こりゃ、実は正当防衛じゃないな、とすぐに思ってしまう。

その嘘を暴いていくのが今回の凜々子の仕事だ。
彼女の有終の美を飾る最終話としては、申し分ない課題だが、議員の圧力に屈することなく事件の解決ができるのか。

不器用ながらも、真摯にこの事件の闇に向かっていく凜々子の姿は、健気だ。
やっぱり応援したくなる。
策はあるかと聞かれ「ありません」と凜々子が言ったところで、22時39分にCMとなる。

CMが明けて、凜々子が挑む勝負は、彼女の性格そのものの正統派ストレート攻撃。
さほど決定的な証拠を持ち合わせているわけでもなく、嘘をついていた被疑者の心情に訴えることで、犯罪の事実を認めさせる。
ただ、嘘をついていた被疑者の心が動くほどの納得感がないのがちょっと残念ポイントではあった。
そして、国会議員の父親も、自分の否を認めるに至るのだが、この流れについても性急な印象は否めなかった。

凜々子検事が、鮮やかな予想もつかない離れ技で奇跡の大逆転をしてみせるより、無策で不器用なままでも寄り切ったのは、ある意味このドラマらしかったのかも知れない。ただ、被疑者とその父親が翻意するに至る心理描写がもうちょっとあれば、もっと納得感があったのかと思う。

いずれにしても、来週から彼女の姿を見ることができなくなるのは、さみしい。
そんな愛すべきキャラクターを完成させた作品だった。

P.S.
凜々子の父・竹村浩市(生瀬勝久)が、凜々子の妹・温子(広瀬アリス)のフィアンセの申し出に対して最後に放った一言は、粋だ。

基本情報:「正義のセ」最終話(第10話) – 吉高由里子主演

今から観るには:「正義のセ」 – 吉高由里子主演