今回は、凜々子(吉高由里子)が小学校の授業にゲストとして招かれて、検事の仕事とは何かを教える、ほのぼのとしたシーンで始まる。

一転して、どん底に。
凜々子が大失敗をしていたことが判明する。
検事を辞めたくなるほどの、初めての大きな挫折。

いつものオープングで「正義のセ」のタイトルが出るときに、「セ」のあたりに凜々子が立つシーンで、「セ」の字が初めて揺らぐ。

ただ、落ち込む凜々子の周囲の人間は、みんなが味方である。

港南支部長の梅宮(寺脇康文)は、これは支部長や検察庁全体の責任だ、と言うロジカルな説明で、凜々子の負担を軽くしようとする。
そして支部の同僚たちも、さまざまな言葉で励ます。
どうしても立ち直れない凜々子が夜遅く帰ると、いつもの家族が暖かく迎えてくれる。
まさに「あなたには帰る家がある」のだ、凜々子には。

父(生瀬勝久)の「こんなときはいっぱい食って寝ろ」というシンプルな一言。
確かにそのとおりだ。

支えになろうとする人たちの声のかけ方、いたわり方はさまざまだ。

そのなかでも今回のMVPは、ここ数回、凜々子に淡い好意を寄せているようにみえる、この支部のエース検事・大塚仁志(三浦翔平)だ。
彼は、凜々子がこの窮地から大逆転するきっかけとなる、新事実を見つけ出す。
財布を落として落ち込んでいる人に、いくらまわりが慰めても、財布が出てくるわけじゃない。
彼は「これじゃない?」と実際に財布を探しあててきたわけだ。

そして準MVPは、事務官・相原(安田顕)。
大塚検事の見つけた事実により、状況は好転しかけた。
ただ、凜々子は葛藤する。
これで形勢を逆転することは、誰かのためになるのではなくて、自分がミスをおかした責任から逃れるためなのではないか?
そんな彼女に対して、相原がかける言葉が重い。
いつもの「老婆心ながらひとつ言わせていただきますが」に続けて一言を放つ瞬間が、この第9話の最大のヤマ場だった。
このドラマのタイトルにふさわしい、正義の心を持った愛すべき頑張り屋さん、凜々子の人格が完成された瞬間に見えた。

これまでの中で、ベストな回である。

P.S.
先週の第8話で、元カレが出なくなった、とレビューに書いたら、ちょこっと出てきたので、びっくり。

基本情報:「正義のセ」第9話 – 吉高由里子主演

今から観るには:「正義のセ」 – 吉高由里子主演