「捜査一課長」と聞いて思い出すのが、2017年にTBS日曜劇場で放送された「小さな巨人」の、香川照之扮する強烈なキャラクターを思い出す。彼とガチンコ対決する長谷川博己もスーパーハードな役柄。ストーリーも警察組織の暗部にも焦点を当てた、ミステリアスかつ壮大なもの。

もうひとつ、テレ朝で刑事物と言えば「相棒」が看板だが、これも水谷豊の独特な演技と、「なるほど」と膝を打ちたくなるような、彼の絶妙な推理が見もののドラマ。

それに比べて、内藤剛志が主役を務めるこの「捜査一課長」は、無理に奇をてらうことのない、オーソドックスなドラマである。昭和の時代の匂いのする街中華で食べる中華そばのような味がする作品。
叩き上げの刑事から精鋭チームのトップに登り詰めた人間味溢れる彼の存在が、多くの現実離れしたヒーローとは異なる種類の共感を得るポイントだ。
東京都内のあらゆる場所でロケをしているが、その位置を示す地図のグラフィックが視覚的にはよいアクセントになっていて、ややアナログっぽいドラマながら古臭さを感じない。
犯罪ミステリーで、なおかつ今回は2時間の長丁場ながら、退屈な時間帯がなくて、真相を推理しづらい設定も巧みで、楽しめる作品だった。

P.S.
捜査一課長の運転手役、ナイツの塙宣之(あだ名はブランク。この職に就くまで長いブランクがあったから)が、いい雰囲気を醸し出している。そう言えば「小さな巨人」でも一課長には片腕となる運転手がいた。実際にもいるんですね、たぶん。

それと、今回だけのゲストみたいだけど、ファッションジャーナリスト役のいとうあさこが、いい味出してた。

安達祐実のセーラー服姿が全く違和感ないのに驚き。

基本情報:「警視庁・捜査一課長season3」初回2時間スペシャル

  • タイトル 警視庁・捜査一課長season3
  • チャンネル テレビ朝日系
  • 放送日時(第1話) 4月12日(木)20:00〜21:48
  • 出演 内藤剛志 安達祐実 本田博太郎 矢野浩二 鈴木裕樹 塙宣之(ナイツ) 床嶋佳子 金田明夫