「ママがお腹を包丁で、ぶすっと刺したの」
そう通報してきた被害者は、わずか6歳の少年だった。
その少年・歩（正垣湊都）を救助すべく、緊急指令室が動き出す――というのが、今回のメインストーリーだ。
指令室室長の橘ひかり(真木よう子)は、母親から逃げ、洗濯機の中に隠れた歩と通話しながら、居場所を特定しようとするも、少年は自宅の住所はおろか、母親の名前すら知らなかった。
聞き取りを続けるうち、部屋の窓から見えた景色から、おおよその位置を特定、緊急出動班班長の樋口彰吾(唐沢寿明)が、現地にかけつけ、児童虐待があるとの噂があるマンションの一室に踏み込むが、そこは事件現場ではなく――
といった流れで、ミスリードもありつつ捜索範囲を絞っていくのだが、その間にも、母親・一ノ瀬奈央（ソニン）は、歩を探し続けている。これが、本当に怖い。狂気に満ちた表情の母親が、血のついた包丁片手に、迫ってくるのだから、たまらない。テレビではあまりみかけなくなったソニンだが、舞台女優として活躍している彼女の本領が発揮された迫力の演技だった。
おかげで、歩が無事、救助されるまで一瞬たりとも目の離せない、緊迫の場面が連続。見ごたえのある回となった。
また、今回の事件とは別に、ひかりが緊急指令室を立ち上げる発端となった、三年前の事件についての捜査も、同時に進行している。捜査協力者から、真犯人の情報を持つ相手と会えると連絡を受けた樋口は、待ち合わせ場所に向かうが、その場で襲撃され意識を失い――
というところで次回へ続くとなる。
このドラマ、3話でも、ひかりが拉致されたまま次回へ続くとなったから、また主人公拉致！？ という気もしないでもないが、この先がどうなるか気になるのも事実。それにひかりの拉致なら、いずれ樋口が助けに来るだろうという安心感があったが、今回は樋口自身が拉致されているのだから、危機感はいっそう高い。
次回も見逃せない回になりそうだ。
ただ、ラストで樋口が襲撃されるシーンでは、申し訳ないが一瞬笑ってしまった。
これまでもアクションシーンはあったが、爽快に大乱闘をするよりは、犯人を相手に、一対一、または一対少数などで、リアルで緊張感ある攻防を繰り広げていく感じだった。ボイスは、シリアス重視の内容だし、このドラマのアクションシーンはそういうものだという思い込みが出来ていたのだけど――
今回の襲撃シーンでは、真昼間の路上に、鉄パイプ片手の男が十数人も現れての大乱闘になったから、違和感がありすぎて「いやいやいや多いわ！！ 何の抗争？ ここ日本だよね？ もしくは知らない間にボイスからTHE LAST COPになってないよね？」とツッコミまくってしまった。
（※THE LAST COP 2015年の唐沢寿明主演刑事ドラマ。コメディタッチの作品で、アクションシーンでは、毎回多勢の敵をなぎ倒していく）
流石に多勢に無勢で、「ハマの狂犬」の異名を取る樋口もやられてしまったから、一応はホッとしたものの（これで勝利していたらリアリティどころの話じゃない・笑）、それにしても、わちゃわちゃしすぎて大味な感じは否めない。真犯人が属する組織の強大さを示すための演出だったのかもしれないが、だとしても鉄パイプ装備のごろつき大量投入より、腕のいい数人にスタンガンを持たせて襲わせるくらいのほうが、怖い組織という印象づけもできた気がする。
ひかりによる通話での聞き取りと共に、現場担当の樋口のアクションも、ボイスの見どころのひとつだけに、惜しい感じがしてしまった。
次回は樋口が真犯人と対面したり、樋口の息子が襲われたりと、今回よりアクション要素が増えそうな様子。過去回にあったような、ボイスらしい緊迫感ある攻防に期待したいところだが、どうなるか。いずれにせよ、見ないことには始まらない。
今から観るには：『ボイス 110緊急指令室』
- 最新話：日テレ無料（無料、次回のオンエア時刻まで）
- 第１話〜最新話：
Hulu(フールー)（月額1,026円、無料トライアル期間、最新話見逃し無料などあり）
基本情報：日テレドラマ『ボイス 110緊急指令室』第５話
- タイトル ボイス 110緊急指令室
- チャンネル 日本テレビ系列
- 番組公式サイト トップ ストーリー 人物相関図 キャスト・スタッフ
- 番組公式ツイート：
@voice_ntv - 放送日時（第５話） 2019年8月10日（土）22:00〜22:54
- 出演
- 樋口彰吾：唐沢寿明
- 橘ひかり：真木よう子
- 石川 透：増田貴久
- 沖原隆志：木村祐一
- 森下 栞：石橋菜津美
- 緒方拓海：田村健太郎
- 落合智明：安井順平
- 樋口未希：菊池桃子
- 田所賢一：小市慢太郎
- 森下志津：YOU
- ？？？：手塚とおる
- 本郷辰夫：伊武雅刀
- 本郷 雫：伊勢谷友介
