自らの勘違いによる空回りで大失敗を招いてしまう西島秀俊の絶妙な演技が楽しめる、しかも、これまで謎の存在だった美少年「ジルベール」が正体を現わす、見どころ満載の第6話。

どんなにイヤなことがあっても、家に帰って美味しいものを食べればチャラになるという、このドラマの定番フォーマットが見事にハマった回でもあった。

ドンピシャなタイミングでズバリと決まった、レッドカード発言

シロさん=筧史朗(西島秀俊)は、真っ当な仕事をする弁護士であることを再確認する回でもあった。

ただ今回は、職場に来た修習生・長森夕未(真魚)から、好意を持たれていると勘違いしてしまう。

史朗の戸惑う様子が、西島秀俊による心の声で表現されているのだが、火のついた勘違いはエスカレートする様が笑える。そして、ついにその思い過ごしはピークに達し、史朗は最もまずい形で、彼女の前で不用意な一言を口に出してしまう。タイミング、状況、発言した内容、そのときの表情、すべてが一発退場のレッドカード。

人は、他人のせいでヒドイ目にあったときなら怒りをそこに向けることができるが、このように自分の責任で恥ずかしい失敗をしでかしてしまったときのほうが、ダメージは大きい。

ジルベールの正体

1970年代に一世を風靡した、男の子同士の愛を描いた竹宮惠子の漫画「風と木の詩」(かぜときのうた)に出てくるのが、金髪の美少年、ジルベール。

これは、ドラマでは第3話の田中美佐子が出演していた回まで遡る。史朗は、そのジルーベルに似ている男性と同居している小日向大策(山本耕史)から、「彼」がワガママ放題で、アイスを真夜中に買いに行かされるなど、自分が奴隷のような存在であることを打ち明けられていた。

この第6話は、その続きとなるが、ここでも史朗の「小日向からも好意を持たれている」という妄想が暴走をし始める。

そして、その想像上の男性だったジルベール、井上航(磯村勇斗)の正体が明かされる。
それも「針ネズミ」と一緒に。
今回の最もインパクトのあるシーン。観てのお楽しみである。

手羽先の水炊きですべて解決

自分のダブル勘違いの後悔の念に苛まれ、打ちのめされたシロさん(史朗)を救ったのは、やっぱり美味しいものだった。
ロクなことがなかったこの日の最後に、神様がくれた小さなラッキーな出来事から、手羽先の水炊きを作ることに。

手羽先は、食べるときに手が汚れることもあり、ちょっと敬遠しがちな食材であるが、シロさんが丁寧に料理するシーンを見ると、ちょっと作ってみたくなる。今日は気力がないので鍋オンリーでいいだろう、と言ってたのに、思い直して副菜のきんぴらを作るところもシロさんらしい。

エンドロールが出始める最終シーンが、5月の金曜の夜を、平和な気分にしてくれた。

P.S.

手羽先の水炊きの具材:
・手羽先、白菜、水菜、長ネギ、豆腐、しいたけ
・だし昆布、酒
・ポン酢醤油、柚子胡椒
・卵、ごはん

れんこんのきんぴらの具材:
・れんこん
・鷹の爪、ゴマ油、酒、砂糖、めんつゆ、みりん、酢

作り方は、ドラマでどうぞ。

P.S.2

修習生・長森夕未を演じた女優さん、眼鏡をかけていたので一瞬気づかなかったが、「カメラを止めるな」で、監督の娘役で熱演を見せていた真魚さん。まだ映画を観てない方は、彼女の「みんな集中して行こ!」を、ぜひご覧ください。

今から観るには:「きのう何食べた?」

基本情報:ドラマ24「きのう何食べた?」第6話