前回の第4話から急にギアが上がり、この第5話でもドラマの面白さが止まらない。今回は恒例の料理のシーンも、小さな「気づき」を与えてくれる人間味あふれる物語も、最高の出来栄えだった。

まさかの「サッポロ一番 みそラーメン」

ドラマ冒頭から、いきなり「サッポロ一番は、塩か味噌か」の議論が始まる。そう言えば、しょうゆ味もあることに気づく。

日清食品のチキンラーメンやカップヌードルを扱っていながら、登場人物が誰ひとり商品名を口にすることはなかったNHKの『まんぷく』とは対照的に、ドラマのなかで特定の商品名がここまではっきり言及されることも少ない。

そして意外にも、この袋麺が今回の主役だった。

これまでは必ず、倹約家であるシロさん(西島秀俊)が、ニコニコしながら料理をする「番組内・お料理教室」がひとつの見せ場になっており、同居するケンジ(内野聖陽)は、それを美味しそうに食べる役だった。レシピには創意工夫があり、冷蔵庫に残っていた食材をうまく活用するなど、このシーンを観ているだけでも十分にお役立ち感のあるものだった。インスタントラーメンなど登場する余地がないように思われた。

ところが今回は、この「サッポロ一番 みそラーメン」に多くの食材を加えて(しかも、プラスアルファの味噌まで)、前回の予告編でちらっと映った中華丼のような具だくさんのラーメンが出来上がる。

しかも、それを調理するのが、予想外の人物。

シロさんの料理は敷居が高くて実行には至らなかった人でも、もっぱらカップ麺しか食べないと言う人でも、スーパーでサッポロ一番の袋麺に手が伸びそうな、絶妙な第5話であった。

実家に帰るということ

大人になって親元を離れると、年末年始に実家に帰るのが億劫になる、いや、むしろ避けたくなる人もいるだろう。
説教されたり、何かを手伝わされたり、疲れるだけだ。
シロさんも、そんなひとりだった。

しかも、父・悟朗(志賀廣太郎)の大きな手術が終わって一息ついたら、母の久栄(梶芽衣子)からは、男と一緒に住んでいることを取りざたされて「老い支度をどうするのか」と迫られたばかりで、ますます帰る気がしない。

そんなシロさんを叱責して、帰ることを促したのも、ふだん怒ることのない意外な人物だった。

そして久しぶりに年末年始に実家に戻ったシロさんを待っていたのは、食べきれないほどのおせち料理を出されたり、帰りに食べきれないくらいのお土産を持たされたりする「実家あるある」だった。そんななかでも、正月を実家で迎えてよかったと実感する出来事も起こる。

そして、マンションに持ち帰った紙袋一杯の餅を、倹約家のシロさんは、1月1日の夜から「消費」し始める。
さすがに餅ばかりで嫌気がさしてきたケンジの渾身の一言で、ドラマはハッピーな結末を迎える。

P.S.

濃厚味噌ラーメンを作るのに必要なのは、白菜、人参、もやし、長ネギ、わかめ、豚肉、たまご、サラダ油、おろしにんにく、味噌、みりん、鶏ガラスープの素、バター、胡椒、水500cc。そしてサンヨー食品の「サッポロ一番 みそラーメン」を一袋。
渋谷駅の地下にある超巨大スーパー「東急フードショー」では売ってませんでした(2019年5月4日現在)。あれだけ何でも揃うのに、袋麺を置いていないことが判明。やはり袋麺は、住宅街のスーパーで買いましょう。ただ、渋谷で買うならMEGAドン・キホーテの2階が安いです。

調理手順は、番組でどうぞ。

今から観るには:「きのう何食べた?」

基本情報:ドラマ24「きのう何食べた?」第5話