平成最後の夜に、各チャンネルが特番を放送するなか「定時」に始まったこのドラマ。マイペースである。
昭和や平成の遺産である「あなたは人に合わせるべき」という価値観から脱皮して「あなたは人と違ってもよいのだ」というメッセージを伝えるために生まれた作品であることが確信できた第3話だった。

第1話、第2話で予見できるとおり、このドラマは、週替わりで結衣(吉高由里子)の勤めるWeb製作会社「ネットヒーローズ」の社員がひとりずつクローズアップされる。

今回は、先週のラストシーンで大問題を引き起こした、結衣が教育係を勤めるイマドキの新入社員、来栖(泉澤祐希)。
彼は、取引先の評判を大きく落とすような問題動画をネットに流出させてしまったのだ。
やらかしたことの罪も重いが、心から詫びようともせず、あまり責任も感じていない様子。
おまけに「わかりました、じゃあオレ辞めますよ」と簡単に言い出す始末。

ふつうに考えたら、引き止める価値もない、どうぞ辞めてください、という社員だ。

そんな、一見無価値な人間にも存在価値がある。
何か今すぐ具体的に役に立つわけではないけれど、この人がいることには、意味がある。

若干きれいごとでもあったが、来栖のよいところを結衣が本人に告げる場面が、この回の静かなクライマックスだった。
第2話で大問題を引き起こした賤ヶ岳八重(内田有紀)が今回は職場にうまく溶け込んでいたように、来栖くんも来週は貴重な戦力となってチームの一員になるのであろう。

来週の第4話は、定時の女・結衣とは真逆の、会社に寝泊まりする男、吾妻(柄本時生)にスポットが当たる。

P.S.

会社を辞めたいときに出す書面は「辞表」ではなく「退職願」です。

今から観るには:「わたし、定時で帰ります」

基本情報:TBSドラマ「わたし、定時で帰ります」第3話

  • チャンネル: TBS系
  • 放送日時: 2019年4月30日(火)22:00〜22:57
  • 出演: 吉高由里子 向井理 中丸雄一 桜田通 柄本時生 泉澤祐希 シシド・カフカ 内田有紀 ユースケ・サンタマリア 梶原善 江口のりこ
  • 番組公式サイト: トップイントロダクションあらすじ相関図
  • 番組公式ツイート: Twitter@watashi_teiji