泥棒を捕まえたいなら、泥棒の気持ちになれ。
今回も超一流の泥棒・煙鴉(けむりがらす、=遠藤憲一)が、チャラい新米刑事・斑目勉(中島健人)を教育する、という斬新な設定のもとで始まった。

餌食になる泥棒役は、第1話の高橋克実に続いて、笹野高史。またしてもドラマ界の重鎮だ。

高橋克実が演じた“キツツキのマサ”は、窓ガラスにピンポイントで穴を開ける名人だった。
笹野高史が扮する通称“黒蛇”は、警察用語で「ノビ」(=忍びこみの短縮)と言う、いわゆる空き巣とは違って、住人が在宅しているのにもかかわらず侵入して金品を奪うというタイプだった。
二人とも、刑務所とシャバを行ったり来たりしながら泥棒人生を歩んできたプロ中のプロとしての貫禄が出ていて、ハマり役だ。

さて、第1話の最終シーンで、鯨岡千里(稲森いずみ)率いる「13係」と言う組織が三課の中にできる。
正義感もヤル気もない刑事ながら、煙鴉のサポートに助けられて“キツツキのマサ”を捕まえた斑目もそこに所属する。鯨岡は「精鋭ばかりを集めた」と言うが、実態はまるで逆。変な趣味があったり、もと捜査一課だったが問題があって外されたり、どちらかと言えば左遷先のような部署。ちゃんとした人は一人もいない。
データを全部暗記しているので、PCがなくても「脳内パソコン」で容疑者を割り出す能力を持つ細面隆一(野間口徹)のシーンがちょっと面白かった。ただ全体的に、ここまで過剰にコメディタッチにして面白がらせようとしなくてもいいのでは、という印象も受けた。

その反面、ふだん刑事ドラマを観ないような視聴者でも楽しめる「教育的」要素が散りばめられているのが新しい。
石原さとみの主演ドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」で、校閲という仕事の奥深さを知ることができたが、あの感じに近い。

まず、ヤサ=犯人の住居、バンカケ=職務質問などの警察用語。現行犯逮捕を「現逮」と縮めたりするんだ、と言うことを知る。
また、警察には担当区域があって、たとえば神奈川県警が管轄している地区に警視庁の人間が張り込んでいると縄張りを侵したような問題になるらしい。警視庁が犯人を取り逃がし、逃げこんだ神奈川県で県警に逮捕されたとなると、警視庁の失態ということになる。なるほど。

さらに、煙鴉が斑目に、どんな家が狙われやすいかを教えるシーンが面白い。泥棒が侵入する家を下見するときに、家の前の道路、塀の造りや、洗濯物を見て家族構成まで分析していることを知る。勉強になる。

そんな煙鴉の指南の甲斐あって、斑目は黒蛇を追い詰めるが、その決定的瞬間がカッコいい。黒蛇にしかけた罠も見事。
具体的には、観てのお楽しみである。

P.S.
気が早いが、最終話で煙鴉は、成長した斑目に捕まってしまうのだろうか?

今から観るには:「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」

基本情報:日テレ土曜ドラマ「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」 第2話・中島健人・遠藤憲一主演

  • タイトル ドロ刑 -警視庁捜査三課-
  • チャンネル 日本テレビ系列
  • 番組公式サイト トップ あらすじ 人物相関図 スタッフ
  • 放送日時(第2話) 2018年10月20日(土)22:00〜23:09
  • 出演
    • 斑目勉・まだらめつとむ(新米刑事):中島健人 WikipediaWikipedia
    • 煙鴉・けむりがらす(伝説の大泥棒):遠藤憲一 WikipediaWikipedia
    • 小平美希・こだいらみき(捜査三課):石橋杏奈 WikipediaWikipedia
    • 皇子山隆俊・おうじやまたかとし(捜査三課):中村倫也 WikipediaWikipedia
    • 宝塚瑤子・たからづかようこ(捜査三課):江口のりこ WikipediaWikipedia
    • 細面隆一・ほそおもてりゅういち(捜査三課):野間口徹 WikipediaWikipedia
    • 霞沙織・かすみさおり(科捜研):田中道子 WikipediaWikipedia
    • 宵町時雄・よいまちときお(バーのマスター):生島翔 WikipediaWikipedia
    • 勝手田利治・かってだとしはる(捜査三課):丸山智己 WikipediaWikipedia
    • 左門陽作・さもんようさく(捜査三課):板尾創路 WikipediaWikipedia
    • 鯨岡千里・くじわおかちさと(捜査三課係長):稲森いずみ WikipediaWikipedia
  • 第2話ゲスト
    • 大堂吾郎・だいどうごろう(ノビの大物・通称“黒蛇”):笹野高史 WikipediaWikipedia