昨日「あなたには帰る家がある」について「このドラマ、タダモノではない」と書いた。
そして今日、この「Missデビル」も、タダモノではないことが証明された。

第1話のレビューで書いたが、第1話の新入社員研修があまりに過激すぎて、ちょっと損をしてしまったかも知れない。
そこで引いてしまって脱落した視聴者がいたことが懸念されるからだ。
ただ、そのまま続けて観てくれた視聴者への大きなご褒美と言えるのが、今日の非常に濃密な第9話だった。

第2話以降は、共亜火災保険「人材活用ラボ」の室長になった椿眞子(菜々緒)が、社員の不正を暴く1話完結のストーリーを繰り返しながら、じわじわと、彼女がこの会社に潜入した本当の理由があぶり出されてくる流れであった。会社が過去に犯した重大な罪に対する復讐劇であるとの様相を示してくるのだ。

ただ、簡単に種明かしはせず、数々の謎を残したまま、ゆっくりとストーリーが進行することにより、かえって恐怖心を煽ってきた。

ところが前回・第8話の最後の数分で、畳み掛けるようなスピードで事態が展開した。
前回のレビュー記事では野球の最終回に例えたが、ボクシングで言えば、ラウンド終了のゴングが鳴る寸前に、一気に連続パンチを浴びせられたようだった。

それを受けて始まったこの第9話。

前回の振り返りがプレイバックされたあと、少しずつ話が進行していくのだが、新たに警察沙汰になるような大事件が起こってしまったことが判明する。
警視庁から、男女二人組の刑事が会社にやってくる。

今回・第9話のMVPは、このふたりだ。

白髪の男性刑事(小市慢太郎)は、終始ニコニコしながら、ゆったりした会話のなかで、じわじわと相手の嘘を見破っていく。
いっぽう長身の女性刑事(関めぐみ)は、鋭い眼光と強い口調で相手を威圧する。
テレ朝の得意技である刑事ドラマでもあまり見たことがないような、スキのないキャラクター。
視聴者の自分も取り調べを受けているような気持ちになってしまう。
この第9話で味わった独特の緊迫感は、このふたりの刑事役のキャラクター設定と、役者さんの秀逸な演技によるところが大きかった。

そして、もはや1話ごとに会社の不正を暴く定型パターンではなくなり、過去の大罪を暴こうとする椿眞子と、隠蔽しようとする会社側の、本格的な闘いに軸足が移ってきた。また、新たに起こったこの「大事件」は、椿眞子によるものなのか、それとも会社の誰かによるものなのか。

前回に続き、結末の数分で、連続パンチが3つほど。

1発目は、まさかこの人だったの?
2発目は、思いもよらぬこの人も!
3発目は、あれ?それ言っちゃったよ!

視聴者の感情の揺さぶりかたが絶妙な、第9話だった。
いろんなことが白日の下に晒されたのだが、新たに加わった謎を残し、最終話へ続く。
楽しみだ。

P.S.
これまで何度も流れた、ホテルアックスの火災事故の映像。泣き叫ぶ少女の顔が、ちょっと澤穂希さんに見える。

基本情報:「Missデビル 人事の悪魔・椿眞子」第9話 – 菜々緒 主演

  • タイトル Missデビル 人事の悪魔・椿眞子
  • チャンネル 日本テレビ系
  • 放送日時(第9話) 2018年6月9日(土)22:00〜22:54
  • 出演 菜々緒 佐藤勝利 木村佳乃 和田正人 船越英一郎 西田敏行
  • 脚本 山浦雅大 藤平久子

今から観るには:「Missデビル 人事の悪魔・椿眞子」 – 菜々緒 主演