長澤まさみ、小日向文世が、このドラマの前番組の2時間スペシャルに出演している。
そしてMCは今夜の「コンフィデンスマン」のゲスト、内村光良。

偶然じゃない。
少しでも露出を増やして、ドラマを観てもらうのだ。
出演者もなかなか大変だ。

ここ数年、ドラマの名門ブランド「月9」を扱ったネットの記事では、中身についでではなく、数字が伸びないという類の文章をよく見掛ける。

フジテレビがいいとか悪いとかではなく、「ロングバケーション」のその昔とは、月曜9時の人の生活が変わってしまった。
TBS日曜劇場の夜9時ならともかく、平日の夜9時は、まだせわしない。
人によっては、まだ仕事の連絡がスマホに入ったりする。プライベートなLINEのやりとりも、夜9時なら、まだ盛んな時間帯だ。
平日は夜も10時くらいにならないと、テレビの前にゆっくり座ってドラマを観る気分になれない気がする。

ネットの影響は大きい。
そうは言っても、テレビカメラの前で、したり顔でテレビマンをバカにするような発言をするIT社長を見るのは気分のいいものではない。テレビに関わる人は自信をもって、これからも面白い番組をつくってほしいな。

もうひとつ、フジテレビとTBSと日テレの視聴率がどうこうという論議も、ソニーとパナソニックと東芝がどっちが勝っているかと言ってるのと同じで、エンタテインメントの土俵はもっと広く自由になっていて、今や何でもありだ。

さて、伝統校の歴史の重みを感じるような「月9」、今週の「コンフィデンスマンJP」は、ほのぼのした田舎の風景から始まる。

年配の夫婦が切り盛りする食堂でボクちゃん(東出昌大)が食べるのは、五百円のラーメン(いわゆる中華そば)。
作り手の豊かな人間性が滲み出た、ふるさとの素朴な味に、彼は涙する。

ドラマも、ギラギラした数字目的の意図が丸出しのものではなく、制作者の人間性や愛が滲み出たものが観たいものだな、と思ったりもする。第4話『映画マニア編』が、まさにそうだった。

今週の『古代遺跡編』、ターゲットは、地方再生コンサルタント・斑井満(内村光良)。
町おこしを偽って地方の土地を買収したうえでプロジェクトを意図的に頓挫させ、産廃処理場にしてしまうと言う、そんなふるさとをぶち壊す、悪どいヤツだ。

詐欺は犯罪だが、もっと悪いヤツに一泡吹かせるのが、このドラマの基本だった。
ただ、今週はちょっと違った流れだ。
まず、金目当てではない。
そして、ターゲットが最後まで極悪人のまま懲らしめられるパターンではなかった。
非情な悪徳業者だったはずの斑井がどうなったかについては、納得感のない、それも唐突で無理矢理な、鮮やかさに欠ける決着だった。悪いまま懲らしめられたほうがわかりやすかったり、心境の変化を描写するにも、これまでの邪悪さと秘めた心の声の二面性の表現が希薄だった気がする。

ただし、今回はその反面、奥底に深いメッセージがあった。
ボクちゃんは、愛と正義を貫いた。ただ、そんな愛や正義でも、浮かばれないこともある。

最後に、ラーメンの値段が映るシーンだけで、観る価値がある回だった。

P.S.
コンフィデンスマンはトリオなのだが、実態としては4人組になりつつある。
第2話『リゾート王編』で存在感を増し始めた五十嵐(小手伸也)が、第4の男として、無くてはならない存在に。
予告編のナレーションも彼である。

基本情報:フジテレビ月9「コンフィデンスマンJP」第6話『古代遺跡編』 – 長澤まさみ主演

今から観るには:「コンフィデンスマンJP」